MAZDA3、本当はいくら高くなったのか?
こんにちは、AD高橋です。
「車名ではなくブランド名で呼んでもらいたい」
藤原さんの思い、なんとなくですが分かる気がします。
例えば私たちはトヨタのクルマに乗っている人と「ヴィッツ」「スープラ」と車名で話しますが、外国の人は「トヨタに乗ってるの?」という感じでブランド名で話をしますよね。
多くの人がブランド名で呼ぶメーカーと言えば、国産車だと真っ先にレクサスが思い浮かびます。ホンダもブランド名で呼ばれることがあるように感じます。
輸入車だとドイツ勢はほぼブランド名で呼ばれるほか、ボルボ、プジョーもブランド名で呼ばれますね。シトロエンは車名で呼んでいる人が多い印象ですが、これはシトロエンを選ぶ人がかなりのクルマ好きが多いからでしょうか。
アメリカ勢はどうでしょう? テスラ、キャデラックはブランド名で呼ばれていますが、フォードあたりは微妙ですかね。
このあたり、個人の印象でも大分変わってきそうなので、ぜひぜひみなさんの意見も聞いてみたいです。


さて、本編ではMAZDA3の価格が20万円ほど高くなっていると藤原さんはおっしゃっています。媒体まわりでも「MAZDA3はメチャメチャ高くなった!」という話をよく耳にします。
そこで今回はMAZDA3と先代アクセラの価格を比較してみましょう。
まず価格を比べる際は、条件がどれだけ変わっているかを理解しておく必要があります。そこで最終型のアクセラとMAZDA3の搭載エンジンと価格をまとめてみました。掲載したのはすべて2WDです。
なお、今年10月から消費税が10%になりましたが、今回は価格の比較がしやすいように消費税が8%だったときの価格で比べます。現在はこの価格でMAZDA3を買うことができませんのでご注意ください。また、価格はすべて小数点1ケタまでの表記としました。
最初に、法人向けの「15C」を除いた廉価グレードで比較してみます。アクセラスポーツ(15S)は195.5万円。MAZDA3ファストバック(15S)は218.1万円。その差は22.6万円。
では、アクセラセダンの15S(価格はスポーツと同じ)に対応するMAZDA3セダンのグレードは、と探してみると、これが見つかりません。セダンには廉価な1.5Lエンジン搭載車種がなくなったのですね。
改めてエンジンのラインアップを整理すると、アクセラは1.5L(ガソリン、ディーゼル)、2Lのハイブリッド、2.2Lのディーゼルの4本立て。MAZDA3は1.5Lと2Lのガソリン、1.8Lのディーゼル、そしてまだ日本では発売されていない2LのSKYACTIV-X。
1.5Lのガソリンはかろうじて単純に比較できますが、例えば2Lのハイブリッドと2Lのガソリン、そして、2.2Lのディーゼルと1.8Lのディーゼルをどう見るか。
アクセラの2.2Lディーゼル搭載(アクセラスポーツ22XDプロアクティブ)は279.2万円。MAZDA3ファストバックの同等グレード、1.8XDプロアクティブは274万円。これを「おっ、5万円ほど安くなった」と捉えることもできます。しかも、デザイン、静粛性、走り、オーディオが向上してるから、まるもうけじゃないか、と。
一方で、エンジンのスペックで見れば、2.2Lが175ps、42.8kgm(420Nm)、1.8Lは116ps、27.5kgm(270Nm)と、2.2Lのほうが文句なしに高性能。ところが、これも前回藤原さんが主張していた「クルマとしてのバランス」を考えると、1.8Lになったことで、安くなったうえにバランスがよくなった、という捉え方もあるわけで、いやはや、本当に難しいのです。
それを承知で結論を言うと、藤原さんが言われた通り、アクセラとMAZDA3の価格差は約20万円、というところです。
さて、MAZDA3がアクセラより高くなったのは事実ですが、藤原さんがちらっと(うっかり?)漏らしていた、トヨタのカローラはどうでしょうか。カローラは、先代モデル(11代目)が一部併売されています。最新型の12代目と、同一グレードで価格を比較してみると……。
(11代目)
カローラアクシオ EX 1.5L 2WD CVT 166.65万円
(12代目)
カローラ G-X 1.8L 2WD CVT 193.6万円
マツダ同様、エンジンから装備までぴったり合わせて比較することは難しいのですが、だいたい30万円前後の価格差になっていました。ただし、「カローラ」として見ると、先代のモデルが生き残っているので、これまでの価格水準が維持されています。ここは、規模の大きなメーカーならではです。
「すごく高くなった」と感じさせた理由
先進技術への対応で、先代より値段が上がっているのは他メーカーでも見られるのに、「MAZDA3は高くなった」という印象が生まれた背景には、以下の3点があると思います。
- セダンで廉価モデルをやめたこと
- SKYACTIV-X搭載モデルの価格設定が突出していること(ディーゼルに比べざっと40万円高くなる)
- 広告戦略で高品質感を訴えていたこと
これらが重なって、「MAZDA3は高価格戦略を採って、それがうまくいっていない」というイメージを生んでいるように思います。しかし藤原さんは「高価格戦略」を明確に否定しました。だとしたら、現状はどういうことなのか。本当にMAZDA3は売れていないのか。次回にご期待ください。
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