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(前回のインタビューはこちら

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):いま藤原さんがおっしゃった、「マツダの思い(ドライバーの操作にリニアに反応するクルマが理想。アクセルを踏めばビュッと出るクルマは人間の感覚に合わないから、作りたくない)」というのは、会社として発信しているのですか? 私は今日初めて伺いましたが。

藤原清志副社長(以下、藤):それが、あまり積極的に発信していないんですよ。

藤原清志マツダ副社長

F:どうして発信しないんですか? 言ってくれなきゃ我々だって分かりません。何か特別に言わない戦略があるんですか。

:特別な戦略があるわけではなく、(マツダ3の)日本での発売に合わせて試乗会を開かなかったので、みなさんにお伝えするタイミングを逸してしまった、というのが正直なところです。世界初のSPCCI(火花点火制御圧縮着火)のスカイアクティブXエンジン(以下、適宜Xと表記)を搭載したモデルの発売が遅れてしまったじゃないですか。Xが出て、3種のエンジンがそろってから一緒にやろう、と考えていたので。

発売時期の修正でメッセージを届けられず

F:なるほど。ガソリン、ディーゼル、そしてXが出そろってから、そのタイミングで乗り比べの試乗会を開こうと。

:そうです。乗り比べの試乗会を、と思っていたのだけれど、Xの発売が遅れてしまったので試乗会を開くことができず、横浜の研究所で少しずつ個別に貸し出しているという中途半端な状態になってしまった、というのが実情です。Xは既に認可テストも終わっていて、少し工場で慣らしをやって、12月の中旬には発売します。その少し前に、自動車メディアやジャーナリスト向けの試乗会をやる、というのが、いま決まっているスケジュールです。

F:Xの発売がここまで遅れてしまったのはどうしてですか? ヨーロッパでは既に発売しているのですよね。

:ヨーロッパ向けのXは、圧縮比が日本よりもさらに高い仕様で作っているんです。向こうのレギュラーガソリンはオクタン価が95なんですよ。たいていのヨーロッパ車はこのオクタン価に合わせて作っています。一方で日本のレギュラーガソリンのオクタン価は91です(単位はRON)。

F:日本のレギュラーはヨーロッパよりもオクタン価が低い。日本のハイオクのオクタン価はいくつですか?

:日本のハイオクは98から100です。向こうのレギュラーが日本のハイオクに近い。だからヨーロッパのクルマを日本に持って来ると、日本のレギュラーでは適応できないので「ハイオク指定」になるわけです。ハイオク“指定”は「レギュラーを入れちゃいけませんよ」ということです。

F:入れちゃダメ。

:入れちゃダメです。性能を保証できませんよと。

F:何年か前に、ある自動車評論家のセンセイが某欧州車の試乗車を返却する時に、レギュラーを満タンにして、それがバレてちょっとした騒ぎになったことがありました。少しばかりのカネをケチったんですね。セコい話です。

マイトのY:またこの人は……よしなさいよ。

F:スタンドの兄ちゃんに「あれ? このクルマはハイオク指定じゃないですか?」って言われたのに、「いいからレギュラー入れろ」と突っぱねて。

高橋マンちゃん:よく知ってますね、そんな話(笑)。

F:結局そのスタンドが「ウチはちゃんと言ったんですけど……入れ間違いじゃありませんから」ってインポーターに連絡して偽装満タンが発覚して。分解清掃まですることになって、インポーターは大損害です。その会社の人から聞いた話だから間違いない(笑)。

マイトのY:だから、よしなさいっての!

F:つまりそれほどガソリンの種類で走りが変わってしまうということよ。

マイトのY:分かりやすいけれど、何かもっとマシな例えはないんですか……。