マツダが苦戦している。

 鳴り物入りで登場した「マツダ3」の販売は振るわず、それに搭載される予定だった「夢の内燃機関」、スカイアクティブXの発売は延期された(しかもいつの間にか使用燃料が“ハイオク推奨”と報じられている。公開された諸元表では「未定」)。将来がかかる北米市場で販売は低迷し、トヨタと合弁で2021年に稼働予定の15万台規模となるアラバマ工場も、売り上げが伴わないとなれば不安材料だ。

 これからマツダはどうなるのか。マツダは何を考えているのか。
 この話を伺うには、この方をおいて他にいないだろう。
 藤原清志副社長に直接お話を伺った。

藤原清志マツダ副社長
藤原清志マツダ副社長

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):今日はありがとうございます。ご多忙のところお時間を作っていただき感謝します。

藤原清志副社長(以下、藤):いえいえどうぞお手柔らかに(笑)。今日はちょっと「影」が付いておりますけれども、気にせず話してください。

カット町田氏も久々に登場

 藤原さんの隣には、初めてお会いする方が座っている。どうも広報の人ではないようだ。

:はじめまして。◆◆◆◆の●●●●と申します。

 ここでリーマン的にどうもどうもと名刺交換。いただいた名刺には「◆◆◆◆本部 本部長」と記されている。製造業に明るい方ならご存じだろう。取引先に対する生殺与奪の権を握る、「絶対的」な立場の方である。

F:それにしても、どうして影さんがこのインタビューに同席を。

:「シャドーイング」というヤツです。シャドーと言いながら、私のことを監視しているのかもしれませんが(笑)。

カット町田:カーット! フェルさん。今のはマズいです。いやマジで。本当にここは勘弁してください。藤原さんも不用意な発言は避けてください。相手はフェルさんです。冗談が通じない。

 久々に聞いた「カット」の叫び声。いい響きである。カット町田氏は車両広報から企業広報へ異動されたのだが、今日は危険なフェルインタビューということで、特別に駆り出されたのだ。お疲れさまです。ちなみにシャドーイングとは、幹部候補社員が経営者に影のように付き添い、その行動から経営を学ぶ幹部育成の手法である。エグゼクティブ・シャドーイングとも呼ばれ、アメリカの企業では一般的である。

「広報はつらいよ。」主演:カット町田 (ピースではなく、テープを切る仕草です)
「広報はつらいよ。」主演:カット町田 (ピースではなく、テープを切る仕草です)

F:実は今回のインタビューには背景がありまして。『ベストカー』の飯干(俊作)編集長が、どうしても藤原さんのお話を伺いたいと。「もうウチでも日経BPさんでもどこでもいいですから、ともかく今のマツダの状況を聞いてきてくれ」と言われまして。

:へぇ? 飯干さんが。

F:はい。ですがベストカーはWEBではなく紙媒体なので、どうしてもこのタイミングでは締め切りに間に合わなくて。そうしたら「それじゃ、日経でいいから、これだけは聞いてきてくれ。個人的に読みたい」と。

:すごいねそれは、会社の垣根を越えて来たか(笑)。それで、どのような質問でしょう。

F:1つは、最近のマツダは企業として空回りをしていないか、ということ。もう1つは、鳴り物入りで登場したマツダ3のスタートが……どうもその……今ひとつよろしくないようで。その辺りに関して。

:素直に「悪い」と言ってください。マツダ3の評判は悪い、と思っているでしょう、みなさん。

F:そうですね。私はまだ試乗していないので勝手なことは言えませんが、販売店で試乗してきた評論家の人の話を聞くと、みなさんあまりいいことを言いません。それらをかいつまんで言うと「カッコは良いけど、思った通りに走らずスカスカ」と言うことになりましょうか。

:スカスカ、ね……。

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