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:効率が悪そうに見えるかもしれませんが、技術がどうこうよりも、やっぱり部品の調達がアメリカでは難しいんです。何しろハイブリッドですから。だからパワーユニットは日本が主体になって進めていきました。「クルマ全体」という意味ではどうだろう。やはりアメリカの比率のほうが大きいかもしれません。

F:地産地消じゃありませんが、アメリカで一番売れるからアメリカで造っているのかと思っていました。

:市場がそこにあるから、ですか? それはちょっと違いますね。ただ、こうしたスーパースポーツをアメリカで開発したという事実は、向こうの大きなモチベーションになったことは間違いありません。

ホントにGT-Rのほうが速いのか?

F:ちょっと嫌な話を伺います。3つ目の「GT-Rより遅いのではないか」という問題はどうでしょう。相手はほぼ半額で、しかも元になるクルマは、いくら毎年手を加えているとは言え、10年以上も前から使っているロートルです。それなのに向こうのほうが速いと言われています。

:そうですね。

F:実際のところ、どうなのですか。ガチで戦ったらどちらが速いというテストはホンダの中で行っているのですか。

:我々ではなく、自動車評論家の清水和夫さんが、いわきにある曙ブレーキのテストコースでDST(ダイナミック・セーフティー・テスト)を行っています。ゼロヒャク(停止状態から時速100キロメートルに至るまでの時間)やエルクテスト。ダブルレーンチェンジにフルブレーキ。あとは高速走行に旋回ブレーキといった基本性能のところは、全部ウチが勝っているんですよね。

F:それじゃどこの誰が「GT-Rのほうが速い」と言っているんだろう。大変なイメージダウンですよね。高いのに。

:筑波アタックのタイムでも、ほぼ同等という結果が出ています。今回の2019年モデルだと。

F:19年モデルだと。ということは、マイナーチェンジ前の17年モデルでは負けていたのですか?

:負けていました。ただ、そのときGT-Rのほうはニスモとの比較だったので……。

F:あー。あれは反則です(笑)。日産が売るチューンドカーですから。それにしても圧勝というわけではなかったのですね。

AD高橋:ちなみにGT-Rニスモは2420万円(20年モデル)、NSXより6万円ほど高いです。

F:ほぼ同額ですね。NSXはあまり走りのほうに振っていないということですか。

:いや、そんなことはないです。

F:実際にそんなに速く走る機会がなくても、やはりスーパーカーは「イザとなったらこっちのほうが速い」という思いが欲しいと思うのですが、買うほうとしては。絶対にそんな深くには潜らないダイバーズウォッチと同じで(笑)。

:それは分かります。でもあの手のスーパースポーツって、2000万円オーバークラスになってくると、「速い」と自分で言った途端に安くなっちゃうと言うんですよ、オーナーさんたちが。

F:「速い」と言うと安くなる。それはどういう……。

:要するに、速いのなんて当たり前だろうと。スーパースポーツは、速さを競うとか、こっちが何馬力上だとか、そういうことじゃないだろうと。「NSXって速いんですよ」なんてLPLが言い出したら、僕は買う気なくなるなぁ、と私はハッキリ言われました。

F:それは誰に言われたのですか?

:オーナーさんです。NSXはもちろん、フェラーリなどを複数台所有されている方です。

F:ははあ。大金持ちの方。

:その方は、フェラーリはまっすぐ走るけれど曲がれないと。速くは走れるけれど曲げられないと。NSXの価値は高速で曲がれることだよね、と言ってくれるんです。

F:それは昔の話じゃないですか? 今でもフェラーリって曲がらないんですか?

:ええと……(笑)。