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:はっきり言うと、今までに使ったお金の全てを回収できているわけではない。たった今は儲かっているけど。

F:「たった今」というと、単年では利益が出ているという意味ですか。

:そりゃもうバッチリ出ている。

:ええ、単年では大変な利益が出ています。

:でもGT-Rを会社に見立てると、まだ親会社の日産に対する返済が済んでいない状態だからさ、「田村、返し終わるまでしっかり働けよ」と言われているわけ。単年で大儲けしても、決して左ウチワではないんだよ(苦笑)。

F:2020モデルに乗せていただきましたが、本当に良くなっている。踏めばバカっ速で、カッチリしているのに、決してゴツゴツしていない。今や円熟の境地に達した感すらあります。それでも最安モデルだと1000万ちょっとですよね(GT-R Pure editionが消費税8%で1063万1520円)。もっと値上げしてもいいような気もするのですが。速いのに安い。デビュー当時から変わらぬ、「世界一お買い得なスーパーカー」(笑)。

:そうね。GT-Rがちゃんと“次の段階”へ行くためにも、値上げはしていきたいね。

F:田村さんの前で伺うのもナンですが、星野さんからご覧になって、GT-Rはどうですか。

:どう、と言いますと?

F:例えば「次」はあるんですか?

GT-Rは絶対に止めません

:もちろんあります。GT-Rは日産のDNAを表すものなので。これで終わりということは絶対にありません。

F:絶対、ですか。

:ええ。“絶対”です。途中で休憩はあるかもしれないけれど、止めてしまうことは絶対にない。ああいうクルマは止めちゃダメ。それに“休憩”と言っても、厳しいから少しお休みしましょうというネガティブなものではありませんからね。今GT-Rのようなハイパフォーマンスカーを取り巻く環境はどんどん厳しくなっています。排出ガスもそうだし、音の問題もそう。そういったレギュレーションの変化にどうやって対応するかというのを考えるのにも時間がかかるので。

F:なるほど、CAFE規制(企業別平均燃費基準)の問題もあるし。

:そう。本当にいろいろあるんです。だから今ガラッと変えてしまうか、それともレギュレーション変更のギリギリまで引っ張って、次のレギュレーションが決定してから、それに対応できるクルマとしてもう一度造り直すかとか、対策にもいろいろ(選択肢が)あるので。

F:GT-Rがハイブリッドになる可能性はありますか。

:もちろんあります。EVになる可能性だってある。

F:ジ、GT-RがEVに……!

:なるかもしれませんよ(笑)。今の段階では何とも言えませんけれど。

F:いや、大変なお話を伺いました。「日産星野副社長、GT-RのEV化を示唆」。大スクープです。

日産広報・星野景子氏(以下、広報・星野):ちょ……フェルさん。示唆じゃないですよ。示唆じゃありませんから。たくさんある選択肢の中にはEVもありますよ、というだけの話で。

F:EVと言えば、リーフの累計販売台数が全世界で40万台を超えました。2010年の発売ですから、ちょうど10年で40万台ということになりますね(編注:国内では現在累計12万7000台)。