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 こんにちは、AD高橋です。

 先週の記事でパナソニック株式会社オートモーティブ社の川原さんから、カーナビの歴史に関する話がありました。
 今回はそれをもう少し詳しくひもといてみましょう。

 世界初のカーナビといわれているものは1981年にホンダが開発した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」です。

(写真:ホンダ)

 これはガスレートジャイロを実用化した方向センサーとタイヤの回転から算出する距離センサー、16ビットマイクロプロセッサ―などを組み合わせてモノクロブラウン管モニター上に自車の位置をドットで表示するシステムです。初搭載されたのは2代目アコード/ビガーでした。

(写真:ホンダ)

 ただ、画面上では点が表示されるだけ。ではどうやって自分の位置を知るのかというと、自分が今いる場所の地図をブラウン管の上に載せるのです。すると光が透けて見えるので、自分の居場所がわかるという仕組み。

 だから、移動して地図が示す場所から外れると次の地図シートを自分で載せ替えなければなりませんでした。でも、視覚的に自分の位置がわかるという意味では画期的なシステムでした。ホンダはこのシステムのために、全国の地図シートをオリジナルで作ったそうです。

 2017年3月、ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータはアメリカに本部を置く電気・電子・情報・通信分野における世界最大の学会「IEEE」からIEEEマイルストーンに認定されました。

 「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」が実用化されたのと同じ年、他メーカーからもカーナビの元祖的なシステムが登場しています。

 1981年7月、トヨタは2代目セリカXXに、地磁気センサーが方位角を検出し、車速センサーから算出した走行距離を用いて目的地方位や目的地到達度を表示する「ナビコン」を初搭載。

 そして日産は1981年8月にデビューしたR30型スカイラインに「ドライブガイドシステム」を搭載しました。

(写真:日産)

 これはトヨタと同様に地磁気センサーを用いたシステムで、走行前に目的地までの距離と方位を入力すると、インパネ内に置かれた表示画面に目的地の方向や残り直線距離が表示されるというものでした。

(写真:日産)
(写真:日産)

 この2つのシステムには地図画面がなく、地図を見ながら目的地の方角や距離を入力しなければなりませんでした。その意味でもこれらはあくまで“ナビのような”システムで、世界初のナビはホンダ・エレクトロ・ジャイロケータと言えるでしょう。

 カーナビ自体が地図を表示できるようになったのは1986年1月。トヨタの2代目ソアラに設定されたシステムで、カセットテープに記録した高速道路案内図をディスプレイ表示するというものです。そして1987年9月、130系クラウンにCD-ROMに収録した地図情報をディスプレイに表示するナビゲーションシステム「エレクトロマルチビジョン」を世界初搭載しました。

 GPSを利用したカーナビを初搭載したのは1990年4月にデビューしたマツダのユーノス・コスモ。現在のナビと比べると精度はかなり落ちますが、衛星からの情報を使う画期的なシステムでした。

(写真:マツダ)
(写真:マツダ)

 そして1990年6月にはパイオニアが世界初の市販GPSカーナビを発売。その後、市販、純正ともに各社がさまざまな機能を搭載したナビを発売するようになります。