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古いポルシェのナビに辟易して……

 私は長らく車載のカーナビを使っていなかった。

 現在の愛車であるポルシェ911タルガは、今や2世代前となった997型で、既に車齢が10歳を超える古いクルマだ。当然付いているナビも古いもので、画面は小さく精度は低く、おまけに地図データは新東名が載っていないくらいに古いものである。アテにならないから使わない。使わなくても何とかなっていたのは、ひとえにグーグルマップのおかげである。

 道案内が必要な時は、スマホでグーグルマップを立ち上げれば問題なく目的地にたどり着くことができる……いや、できていた。そのありがたいグーグルマップが、この頃少しヘンなのだ。「山口さんちのツトム君」くらいに、このごろすこしヘンなのである。

 同じ場所を何度もグルグルと回らされる。道順をコロコロ変更する。軽自動車でも通れないようなムチャな細い裏道を推奨する。ゼンリンとの契約が切れたために精度が落ちた、という噂話がまことしやかに聞こえてきたが、実際のところはどうなのだろう。

 何にしても、このままでは困る。
 困った時はホームドクターに相談だ。マニアックススタジアムの山下純一さんに、「いま一番いいナビはどこでしょうか?」とザックリ尋ねてみた。すると、「パナソニックじゃないですかねぇ」と、これまたザックリした答えが返ってきた。

 言われた通りにパナソニックの最新機種を取り付けた。
 9インチの大画面にブルーレイ・ディスクの再生機能まで付いて17万ちょっと。

 安い! パナの最上位機種がこの値段。一昔前だったら40万円くらいはしたはずだ。
 ナビの価格はいつからこんなに安くなったのだろう。
 そもそもいまどき、後付けで高いナビを買う人などいるのだろうか。

 山下さんに聞いてみると、「私はよく分かりません。直接パナに行って聞いてください。紹介しますから」とザックリ言われてしまった。
 かような経緯から、パナソニック株式会社オートモーティブ社にたどり着いた次第である。

 お話を伺うのは、マーケティングを担当するインフォテインメントシステムズ事業部 市販・用品ビジネスユニット 市販事業推進部販売管理課主幹の川原正明さんである。

フェル号に取り付けられたパナの最新カーナビ。こんな縁で取材に来ようとは。

F:初めまして。お忙しいところ恐縮です。今日はよろしくお願いします。

川原さん(以下川):こちらこそ、よろしくお願いします。

F:ここしばらく、ナビが必要な時はグーグルマップで済ませてきたのですが、どうも最近道案内がデタラメになってきてしまい、キチンとしたナビを取り付けようということで、御社のストラーダを取り付けたところなんです。

:それはそれは、お買い上げありがとうございます。

F:単刀直入に伺います。最近のカーナビってどうなんでしょう。スマホアプリの進化が著しく、もはや役割を終えたのではないかとすら思えます。今現在はグーグルマップの精度がガタ落ちしていますが、解決するのは時間の問題です。クルマの需要減以上のハイペースで、ナビも売れなくなっているのではないかと思うのですが、実際のところはどうでしょう。

:あの……ここでこんなことを言うのもナンなんですが、日経さんが「スマホに押されて、カーナビはもうダメだ」みたいな記事を出されてから、そう言われることが多くなりました(苦笑)。

F:ほう。この男がそんな記事を書いたのですか。まったくケシカランですね(と、マイトのYを睨みつける)。

マイトのY:私じゃありませんよ。そもそも私にそんな影響力のある記事は書けません。新聞のほうじゃないですか?

:日経新聞さんですね。あとはテレビでも放送されたので、そういう説が結構広まっていて困惑しているんですが、数字の話をすると、カーナビの販売量は決して落ちていないんです。

F:へえ!