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 こんにちは。AD高橋です。

 前回からお届けしている、ニュルブルクリンク24時間耐久レースのSUBARUチームの総監督、辰己英治氏のインタビュー。その内容はドライバーの運転技術、そして運転免許やクルマ自体のあり方にまで広がっています。

事故ゼロを目指すSUBARU

 辰己氏の話を読みながら、日経ビジネス電子版に引っ越す前にご登場いただいたインプレッサの開発者、井上正彦氏の話でも登場したSUBARUの安全思想が頭に浮かびました。

 FacebookでSUBARUをフォローしていますが、ニュースフィードに「2030年までにSUBARU車による死亡交通事故ゼロを目指す」という動画が流れていたことがありました。これは昨年発表された新中期経営ビジョン「STEP」の中で示された方向性。この目標に向かってSUBARUはさまざまな角度から開発するクルマの安全性を高めています。

 その中でも興味深いのが予防安全や衝突安全よりも前に語られる「0次安全」です。0次安全とは、クルマの操作性、あるいは視界など基本設計を高めることで、ドライバーが自ら、しかも自然に安全運転できるようにしようという発想。

 現在のSUBARU車で0次安全の中心にあるのが、スバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)。現行型インプレッサスポーツ/G4から採用されたSGPは適切なドライビングポジションが取れるよう設計し、自然に操作できることが印象的です。また、運転席からの視界が広く、カメラを使わなくても広範囲を見渡せるのも大切な機能の1つです。

インプレッサの前方視界。

 ともするとクルマが進化したことや、それが安全に貢献していることに気づかないほど。でもそれこそが自然に運転できていることの裏返しでもあります。

 さらに土台がしっかりしていれば、例えばアイサイトのプリクラッシュブレーキが作動した時もシステムが危険回避しやすくなります。また、前方を走るクルマに追従する際もシステムのステアリング操作などにクルマが自然に反応しやすくなります。

 今、新しいプラットフォームの開発に各社が力を入れているのはみなさんご存じの通り。かなり前ですがVWゴルフ7に初めて乗った時の「ほお!」という感覚は今でも残っています。トヨタのC-HRに初めて乗った時はTNGAのしっとりした乗り味に驚きましたし、アルトから採用されているスズキのHEARTECTもコストを何より重視する軽自動車とは思えない軽やかな操作感に驚きました。ボルボのXC40のCMAもビックリするほど上質な乗り味です。最近ではプロパイロットを搭載した日産のデイズが気に入っています。どれも裏側にアクセルやブレーキ、ステアリングの操作性の高さがあるのは言うまでもありません。

 7月9日に発表となった4代目ダイハツタントはDNGAという新しいプラットフォームを採用。剛性や視界などの面で不利な軽ハイトワゴンで運転感覚がどのように進化しているか、興味深いです。

日経ビジネスから『カリスマ失墜 ゴーン帝国の20年』『マツダ 心を燃やす逆転の経営』の書籍2点を刊行!

カリスマ失墜 ゴーン帝国の20年

倒産寸前の日産自動車を再建し、カリスマ経営者の名を欲しいままにしたカルロス・ゴーン氏。2018年11月に突如逮捕され、権力の座から転落した。ゴーン氏とは、いったい何者だったのか? いかにして絶対権力を握ったのか? その功罪とは? 転落の背景には何があったのか? 「日経ビジネス」が追い続けた20年の軌跡から、ゴーン氏と日産・ルノー連合の実像に迫る。


マツダ 心を燃やす逆転の経営

「今に見ちょれ」──。拡大戦略が失敗し、値引き頼みのクルマ販売で業績は悪化、経営の主導権を外資に握られ、リストラを迫られる。マツダが1990年代後半に経験した“地獄”のような状況の中、理想のクルマづくりに心を燃やし、奮闘した人々がいた。復活のカギ「モノ造り革新」の仕掛け人、金井誠太氏(マツダ元会長、現相談役)がフランクに語り尽くす。改革に使われた数々の手法の詳しい解説コラム付き。