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レース前にはSUBARUテントにMORIZO氏も激励に訪れた。

F:その揚げ句がネグレクト、ですか。教育どころか子供に食事も与えないで出かけてしまう。

:最後はもう邪魔くさいと子供を殺すしかなくなってくる。自分が楽しむことが最大の生きる目的みたいになっている。

F:そんな人でもクルマを運転する。それを安全に導けるよう、技術でカバーできるものなのでしょうか。何か暗い気持ちになってしまいますが......。

:やらなければいけないし、できると思っているんですけどね。

F:屈折した人がムチャな運転をするのを技術で制止するというのは、なかなか難しそうですね。

それにしても、いいのかい? こんな話で

:そう。なかなかそれは難しくて。何しろこちらはお客さんを選べるわけじゃないので。今から12年前かな。クルマの運転で、人間をもっと優しくする方法は何かないのかな、と考えたことがありますね。「乗ると優しい気持ちになれる」とか、その時は形にならなかったけれど、そういうクルマって、絶対にあると思う。

 ......それにしても、いいのかい、こんな話してて。少しはレースの話をした方がいいんじゃないの(笑)。

F:いいんですいいんです。だって結果は誰が見たって明らかなんだし、SUBARUは強くておめでとうございますなわけだし、詳細なレース展開を知りたければ、専門の方が書いたのを読めばいいんだし。

:フェルさんにはこのレースで初めて会ったのに、何かとんでもない話をしていますね、私(笑)。

F:私のインタビューって、大抵そうなるんですよ。脱線しまくるんです(笑)。とはいえせっかくニュルくんだりまで来ているので、「レース」そのものについて伺います。やはり出る限りは勝たなきゃダメですよね。

:そりゃそうですよ。

F:負けちゃったけどいいレースだった、というのはダメですね。

:ああ、ダメですね。レースはやっぱり勝たないとダメなんです、本当に。勝たないと誰も信じてくれないので。負けるにしても、自分自身がここまではよく頑張ったなと。だけど負けたんだから、来年はヨシャ、ここからもっと先の世界に行って勝ってやろうと。そういう強い思いの人がいれば、それは価値があると思いますけどね。

F:すると、レースは同じ人がずっとやり続けた方がいいですか。コロコロと担当が変わるのはよくないですか。

:私はそう思いますね。これはレースに限らず、どんな仕事でもそうじゃないかと思う。