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 2019年6月30日。ホンダのパワーユニット(PU)を搭載したF1マシンが、遠くオーストリアの地で優勝した(チームの正式名は「アストンマーティン・レッドブル・レーシング」、通称レッドブル・ホンダ)。

 ホンダのマシンがF1で優勝したのは実に13年ぶりのことである。“歴史的快挙”と呼んで差し支えないだろう。

優勝したドライバー、マックス・フェルスタッペンの歓喜。(写真:ホンダ)

 勝利の立役者のひとりが、以前この連載でもご紹介した山本雅史ホンダF1マネージングディレクター(MD)だ(記事はこちら→「日本航空山田機長から、ホンダへの手紙」)。

 レースの翌日、帰国直前のウィーン国際空港で山本MDからお話をうかがうことができた。

インタビューは出発直前のウィーン空港ラウンジで行われた。

F:優勝おめでとうございます。ホンダのマシンがF1で優勝するのは13年ぶりのことですね。「苦節13年」と言っていいのでしょうか。

これまではホンダの「最後の優勝」だった2006年ハンガリーGP。ドライバーはジェンソン・バトン。(写真:ホンダ)

山本F1MD(以下山):ホンダがF1に参加していない時期もあるので、その辺の年数は何とも言えませんね。

F:ずばり、今回の勝利の要因は。

:ここオーストリアはレッドブルの地元、ホームコースだし、実は金曜日の早い時点で、田辺(田辺豊治氏、ホンダF1テクニカルディレクター)と、「ちょっと今回は攻めて行こうや」という話をしていたんです。

F:金曜日。プラクティス(練習走行)の日ですね。あの日はフェルスタッペンが攻めすぎてコースアウトして、壁に激突してクルマも壊れてしまい、ヒヤッとしたものです。

:あれはヒヤッとしたね。見た感じクルマもそうとう壊れちゃったし、ヤバいなーとは思いました。でも実際に開けてみると、さほどのダメージもなくてホッとしました。