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レース終了後、コースになだれ込み、レッドブルのピット前に集結した大勢のファン。旗が振られ、オランダのナショナルカラーであるオレンジの発煙筒が焚かれ、もうなんでもアリの大騒ぎである。

 長く、暗く、つらいトンネルを抜けた先に広がっていたのは、屈託のないファンの笑顔であり、心からの称賛の叫びであり、鳴りやまぬ拍手の嵐だった。

ファンの歓声に応えるホンダの山本雅史F1マネージングディレクター。

 決して良好な関係とは言えなかったルノーに見切りをつけ、今季からホンダのパワーユニット(PU)を採用したアストンマーティン・レッドブル・レーシング。

どうしても勝てなかったホンダ

 不毛な口ゲンカの末の泥沼離婚とは言え、それでもルノーのPUは昨年、オーストリアGP前の段階で2勝(中国、モナコ)を挙げており、年間で3位のタイトルも獲得している。一方のホンダPUは、2015年以来ここまで3位入賞が2回“のみ”であり、残念なことに優勝は1度もない。

 ファンはまるで気の短い個人投資家のように、目先の「短期利益」を求めるものだ。
 すぐに結果が出なければ納得しない。
 「ルノーのほうがマシだったんじゃないのか?」
 こんな“声にならない声”も、ホンダのF1関係者の耳には届いていたはずだ。

今のお気持ちは?との問いに、「うれしい…..」と一言。泣き虫山本MDは、ここでもやはり泣いていた。

 心ない意見は、外部のファンからだけではない。ホンダの内部からも上がっていた。
 「ルノーより弱かったら出る意味がない。かえって逆効果じゃないか」
 「あれだけのカネがあったら、テレビCMが何本打てると思っているんだ」
 実際にこのような“ホンダ関係者”の言葉は、私も幾度となく耳にしている。

 ホンダの業績が儲かって笑いの止まらない状態であれば、こんなイヤミも言われないですむのだろうが、現在のホンダの利益率は国産自動車メーカーの中で最低レベルにある。