F:なるほど。えーと……Yさんが本当にキレそうなので、そろそろGLCの話に入りましょう。普通のGLCとGLCクーペ。これはどちらが売れているのですか?
木:GLCの方が売れています。ですが予想した以上にクーペの比率が高いです。
F:クーペはそれほど売れないと思っていた?
木:そうですね。SUVのお客様の嗜好を考えていくと、みなさま「なるべく多くの荷物を積みたい」という思いが強くありますので。
F:実際にはそんなに荷物を積まないのにね(笑)。
木:それはそうなんですが……(苦笑)。
F:新しくなったGクラスと比べるとどうですか。購入に際して、Gと比較する人はいますか。
木:それはないですね。特にGは指名買いのお客様がほとんどですから。GLCに限らず、何か他のクルマと比較して……という(Gクラスの)お客様は見たことがありません。
SUVはブランドスイッチが激しい
F:GLCはどんな人が買っているのですか。GLCの前は何に乗っていたのでしょう。
木:これがまた難しくてですね……SUV全般に言えることなのですが、これ、という傾向が見えにくいんです。年齢層はCクラスよりも明確に若いのですが、例えばセダンからGLCにきて、今度はオープンモデルにいかれたりとか。お若い分、ブランドスイッチも自由ですね。セダンやワゴンは「メルセデスでなければ」、とブランド指定で買ってくださるお客様が多いのですが、ことGLCに関してはそれもありません。「BMWでもアウディでもいいんだけど、比べたらGLCが一番良さそうだからこれにした」という具合です(苦笑)。
F:なるほど。これは面白い。ことSUVに関して言えば、「M・ベンツでなければ」はもう古い。
木:そうですね。GLCのお客様は、実に多様な感じです。
F:しかし随分感覚が変わりましたよね。“サラリーマンでも買えるベンツ”というエポックメーキングなAクラスが出て、M・ベンツの社会的な位置付けは大きく変わりました。
マイトのY:それはありますよね。
F:しかし一方で、今でもM・ベンツには“乗れるけど乗れない”人も確実に存在するような気がします。何というのかな。近所の目だったり、あるいはお勤めの会社で派手に見られたらマズイとか。そういう雰囲気ってあるじゃないですか。マルチ商法の人がハッタリをカマすために「買えないけど買っちゃう」のと逆で、「買えるけど買わない」という層が。
マイトのY:あ、それは思い当たりますね。実は私、都内のはずれ、●●区の住人で、25年落ちの古ーいEクラスに乗っているんですが。
F:名車の誉れ高いW124ね。あれは文化遺産だから一生売っちゃダメよ。修理費を抱えて永遠に苦しんでください(笑)。
マイトのY:ワゴンだからW124じゃなくてS124だって10年前から言ってるだろうが! ……失礼しました、それでですね、ある夜、部活で遅くなった中学生の娘を学校まで迎えに行ったんです。その古いEで。そうしたらその後娘が「ベンツに乗っているYさん」とか言われて、そんな感覚ってまだあるのかと、びっくり仰天した次第です。
F:Yさんの家はM・ベンツでお嬢さんのお迎えに来たと。
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