今回お話をお聞きしているのは、メルセデス・ベンツ日本(以下MBJ) 広報室製品広報課の木下潤一さんです。

MBJ広報室製品広報課の木下潤一さん
MBJ広報室製品広報課の木下潤一さん

(前回はこちら

F:国産のセダンはほとんど壊滅状態であるのに、M・ベンツのCクラスやEクラス、他社で言うとBMWの3シリーズなどでもセダンが多く売れている。これは非常に興味深い現象です。それをして木下さんは「わざわざ輸入車をお買い求めになる方は、あえてセダンを選ばれる傾向があるのかもしれない」と。

木下さん(以下木):そうですね。そう思います。

F:先程Cはワゴンも人気だけれども、やはりセダンの方が売れるとおっしゃいました。セダンとワゴンの比率を教えてください。

:Cクラスですと、2対1ですね。セダンはワゴンの倍ほど売れています。

F:セダンはワゴンの倍も……そんなに……。

:はい。ですがこれ(ワゴンがセダンの半分程度売れること)は、ワールドワイドで見るととても珍しい現象で、海外ではやはりセダンの方がもう圧倒的に多いんです。

F:そうなんですか。海外こそワゴンが売れるのかと思っていました。

:いえいえ。海外はセダンです。セダンの方が圧倒的に多い。

F:なるほど。ここでも日本は特異な市場なんですね。ところで昨今はGLCのようなSUVばかりが売れている印象ですが、売れ筋の中心はSUVにシフトしてきている……という感覚はありますか?

マイトのY:お、いよいよGLCの話に入るんですね。

焦点が絞れない時代

:そこなんですが、今はもう本当に商品構成が難しくて、フェルさんの言う「中心」が絞れないんですよ。ご存じの通りコンパクトはものすごい勢いで台数が増えています。一方でコンベンショナルなC、E、Sのセダンも、我々メルセデスにとって変わらずど真ん中の商品です。新しくマーケットが伸びているSUVももちろん重要ですし。ブランドシェーパーとしてのクーペやカブリオレも大事にしていかなければなりません。

マイトのY:な……。

F:スミマセン。ブランドシェーパーってなんですか?

:そのブランドの旗印というか、イメージをつくり上げていくクルマです。例えばSクラスのクーペだったり、SLだったり、Mercedes-AMG GTだったり。

F:なるほど。数は出ないけれども大切に育てていかなければならない、カッティングエッジ的なもの。

:その通りです。数が出なくてもブランドのイメージを牽引してくれるクルマです。それがあってこそのCでありEでありコンパクトなんですね。で、ワゴンの話なんですが、日本の市場は、ステーションワゴンが一時期ばーんと花開いて、それから徐々に減ってきてしまいました。セダンからワゴンにいって、それからミニバンに人気が移行した。そしてそれが今SUVに徐々に移ってきた、という感じです。ですがその間も、Cクラスのワゴンは一定量を確実に売り続けてきたんです。国産メーカーさんはどんどんワゴンをやめてミニバンにいってしまいましたが、その間もCのワゴンは変わらぬ良い価値を提供してきた、と自負しています。

次ページ SUVはブランドスイッチが激しい