ディーゼルハイブリッド、日本で大ヒット
木:そこは社内でさんざん議論したのですが、Sクラスで3ケタ万円の価格設定が、コミュニケーションとして響くのか響かないのか。先程お話したいわゆる富裕層のお客様に加えて、新しいお客様の目にもとまるよう、998万円~という価格で出したんですね。これは当たりました。結果的に、他ブランドからの乗り換えのお客様にもたくさんご購入いただけましたし。
F:これはノーマークだったな。トルクのあるディーゼルにモーターが付いたら、加速もすごいでしょうね。乗ってみたい。試乗車はないんですか?
木:それが残念ながらないんです。今回のフェイスリフト(2017年8月)で、ディーゼルのハイブリッドはラインアップから落ちてしまって……。
F:それはまたどうして。乗用車では日本唯一のディーゼルハイブリッドですよね。
木:これは我々メルセデス・ベンツ日本の判断ではなく、本国の判断です。そもそもディーゼルハイブリッドを作ること自体をやめたんです。ダイムラーとして、「パワートレインは何を開発していくか」という問題なんです……。ところであの、こんな話でよいのでしょうか。今日は確かGLCのインタビューでしたよね? 資料も用意してあるのですが。
F:いいんですいいんです。こっちのほうが面白い(笑)。
マイトのY:ひぃぃぃぃ……。
木:それじゃパワートレインの話をもう少し(笑)。ダイムラーとして、いま直6を作っています。ISG(※)、BSG(※※)も用意しています。プラグインハイブリッド(PHEV)もやっていて、もちろん電気自動車も開発していますし、燃料電池もやっていると。もう本当に、ありとあらゆるパワートレインバリエーションをやっているんです。その中で、ディーゼルハイブリッドはどうなのかと。
※ISG:インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター/エンジンとトランスミッションの間に最大250Nmを発生する電気モーターを挟み、クルマが動き出す際などに電気モーターだけで走行したり、エンジンがかかり始めのトルクが薄い回転数の時にモーターでアシストする。 ※※BSG:ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター/従来のオルタネーターの場所に、システムとして最大160Nmを発生する電気モーターが配置され、ベルトを介して動力を補助する。
F:あー。PHEVもあってISGもある中で、ディーゼルハイブリッドはいるのかと。
木:はい。電気モーターを使うパワートレインに関しては、ISGやBSGとPHEVに二極化して、普通のストロングハイブリッドは廃止する、という決断を本国がしたわけなんです。
F:なるほど。正しく「選択と集中」ですね。どんどん増やせ、増やせではないと。
木:基本的にパワートレインの種類は増えています。とはいえ、開発側に限界もあるので、そういった意味でそこは取捨選択をしているという状況です。

インポーターのインタビューで、ここまで“ぶっちゃけ”てお話しくださる方は珍しいのだ。MBJ木下さんのお話は次号に続きます。
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