F:なるほど。161種類もの車種がズラッと並んでいる、という意味ではないのですね。これだけそろっていると、販売台数だけでなく、モデル数もメルセデスが輸入車ナンバーワンということになるのでしょうか。BMWなども、かなりの車種をそろえているようですが。
木:それは分かりません。実は他社さんのモデル数を数えたことがないんです(苦笑)。
たくさんの車種をそろえることによって、お客様の細かいニーズ、例えば、「このモデルで4輪駆動があったらよかったのに」とか、「この色があったらよかったのに」とか、「もう少し小さいのが欲しかったのに」とか、お客様の様々なニーズを満たして差しあげる。なるたけ妥協をさせずにおクルマを提供させていただく。我々はそこができているのではないかと思います。
F:お客さんに妥協をさせずにクルマ選びをしてもらう。なるほど。
木:そしてそのラインアップを、「メルセデスにはこれだけたくさんのおクルマがそろっていますよ」という事実を、つまりプロダクトとラインアップの優位性を、お客様に正しく伝える活動が功を奏したかな、というふうに思っています。
F:宣伝、プロモーションということですか。
木:はい。六本木にクルマを売らないショールームを作ったり、マリオとのコラボレーションでコマーシャルをやったり。そのようなことで新しいお客様にもアプローチすることができました。
F:なるほど。モノの良さもさることながら、その伝え方、アピールの仕方もうまくできていると。
木:はい。そこがうまくいったかなというふうに考えています。
「いいから高いの持ってこい」は本当か?
F:販売価格に関してうかがいます、「M・ベンツは高いほうが売れる」、あるいは「高くしたほうが売れる」と聞いたことがあるのですが、いかがですか?
木:過去からのデータを見ても、そうした事実はないですね。いわゆる富裕層のお客様でも、高ければいいかというと、それはありません。むしろそうしたお客様のほうが、「バリュー・フォー・マネー」にこだわる傾向があります。ご自身が「適切なものに適切なお金を払っているか」と常にチェックしておられる感じです。
F:「何でもいいから一番高いベンツ持って来い」というような社長さんが乗っているのかと思っていました(笑)。特にSクラスとかは。
木:中にはそのような方もいらっしゃいます。細かい話をすると、会社を経営されていて、今期黒字が出過ぎてしまうと困るので……と、それほど価格にシビアではない買い方をされる方もおられます。ですが総じて見ると、やはりバリュー・フォー・マネーを大切にされるお客様が圧倒的に多いです。「高ければいい」という話では決してありません。
F:“いいから高いの持ってこい”社長は少数派。
木:はい。あとは新しいプロダクトに対して非常に敏感という傾向もありますね。以前私がSクラスを担当していた時に“4気筒ディーゼルでハイブリッド”というクルマを出したのですが、これなどはローンチから大変な評判をいただきました。
F:ディーゼルでハイブリッド。これはコストがかかっていますね。
木:はい、それに998万円から、という価格を付けて。
F:安い! 激安じゃないですか!
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