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 何度も言うが、これは18歳の青年が話す言葉である。
 名取選手は2000年9月の生まれだから、今年は19歳になる年回り。
 読者諸兄は大学1年の5月に何をしていただろう。
 私は高2の5月から付き合っていた彼女にフラれて泣いていた。
 ああ人生は穴だらけ。ホントに生まれてスミマセン。

F:事実上、今日が欧州におけるレースの初戦ですね。どうですか、今日の走りを振り返って。

:世界から速い人間が集まってきているんです。去年のFIA-F4のチャンピオンとか、GP3に参加している選手とか、旧FIAのユーロフォーミュラにも参加している選手とか、本当にハイレベルを極めている選手がたくさん。その中で、やっぱり自分はまだまだであることを思い知りました。予選で28番手。今日のレースで23番手。足りない。足りないところばかりです。

:日本のレースとこちらのレースは違いますか。

:まったく別物です。もう日本は正直アレなんで……でもこれは言うとマズいので(苦笑)。

F:マズくない程度にお願いします。

:いろんな意味で日本はキレイですよね。絶対に当ててこないし。

F:なれ合いになっているということですか。

広報松本:ちょっとちょっとフェルさん、ここは勘弁してよ。彼は将来がある身なんだから。

F:ですよね。この原稿がもとで名取さんが干されたりしたら責任問題です(笑)。

:相手をはじき出してでも上にのし上がる。何が何でも上に行く、という思いが(欧州のレースでは)ものすごく強いですね。全員が全員、絶対にF1に行きたいと思っている。ほかの人を蹴落としてでも行こうという意識がとても強いです。それが30人ギシギシと走っているわけですからもう……。

F:うわぁ……。

:自分はまだまだです。ここでヘコたれずに、自分をもっと奮い立たせて、何が今足りないのか、何がトップと違うのかを冷静に比較して、改善していくしかないですね。もっと英語を勉強しなければいけないし、メンタルもフィジカルももっともっと鍛えなくちゃいけない。やるべきことが山積みです。

夢が実現するとは、どういうことか?

F:もちろん運転の練習は死ぬほどするんですよね。

:いや、それができないんですよ。FIA-F3って、F3、F4以上のクルマで練習してはいけないという取り決めがあるんですよ。遅いクルマに乗るのはいいんですけど。

F:えー! それじゃ練習にならないじゃないですか!

:そうなんですよ。ただ変な取り決めがあって、練習はだめなんだけど、レースは出ていいよという、変なルールがあるんです。それで僕はユーロフォーミュラ・オープンという、昔のF3みたいなレースに練習代わりで出て、そこで実戦経験を積むということをやっています。

F:公道でポルシェとかランボに乗るのはいいんですか?

:それはいいのですが、ハコだとあまり練習にならないし、それに僕、まだ免許を取って半年なんで(笑)。

F:なるほど。18歳ですものね。最後に一言教えてください。とてもクサイことを伺いますが、夢を実現するってどういうことだと思いますか。

:自分で勝手に限界を決めないということだと思います。もっと先に、もう一歩先に。常に歩み続けることだと思います。自分の限界はここまでだと思うと、その瞬間に止まってしまいますから。でもごめんなさい。僕はこんなことを言う資格のない人間です。僕はまだ夢をつかんでいないので。

F:いつまでにF1に乗りたいですか?

:20歳までには乗りたいです。実際に可能なんですよ、僕は既に日本で10ポイントを獲得しているので、このF3でチャンピオンになれれば、30ポイントが付与されて一発でF1行きの40ポイントを満たすことができるので。

F:素晴らしい! 頑張ってください。応援しています。

:ありがとうございます。頑張ります。日本のみなさんも応援お願いします。必死で頑張っています。何が何でもF1に乗れるよう努力します。よろしくお願いします。

 最近の若いヤツは……なんて言葉をよく聞くが、若いヤツにもこんなに頑張っている人がいるのです。インタビューを終えた後は、40歳近くも年下の青年に「オッサンも頑張ってくださいよ」と何やら諭されたような気がしたものです。

 名取鉄平選手。弱冠18歳。期待しましょう。そして応援しましょう。
 ああ、若いって素晴らしい。若い女の子と付き合いたい。
 それではみなさままた来週。