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 みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。

 首の骨が折れていますが、遠くアメリカはインディアナ州、州都のインディアナポリスに来ております。もちろん当地で開催される、インディアナポリス500マイルレース(インディ500)を観戦するためであります。

(写真:ホンダ)

 F1モナコGP、ル・マン24時間レースと並び、世界3大レースに数えられるこの大会。
 第1回の開催は100年以上も昔の1911年。1911年といえばあーた、東洋では清で辛亥革命が始まり、西洋ではイタリアがオスマン帝国に宣戦を布告したという激動の年であります。レースとかやっていてよかったのでしょうか……。

 とまれ、今回で実に103回目となる(2度の世界大戦により何回か中断しているのです)3大レースの中では最古にして最大の自動車レース。運営側からの正式発表はありませんが、来場者数は30万人とも35万人とも言われ、会場となるインディアナポリス・モータースピードウェー(IMS)は人、人、人であふれています。

ご覧くださいこの大観衆。迷子になったら泣くしかありません。

 IMSの別名は「ブリックヤード」。その昔はコース全面がレンガ敷きだったためにこう呼ばれています。しかしレンガは欠けたり剥がれたりして危ない上にメンテナンスも手間がかかる。そのため現在は他のサーキットと同じようにアスファルト敷きになっています。今でもゴールラインの部分だけは往時のレンガが残されていて、優勝者とそのチームは、レンガにキスするのが恒例行事になっています。

これがコース上に残されたブリックヤードの名残。

 全長2.5マイルの楕円形(オーバル)コースをぐるぐると200周。2.5×200だからトータルで500マイル。1マイルはおよそ1.6kmなので、約800km超の長距離をほぼ全開でイッキに走り抜けることになります。反時計回りの楕円コースを最高速度370kmの超高速で走るのですから、気合と根性だけが物を言う度胸比べの大会かと思えばさにあらず。鍛え抜かれた身体はもちろんのこと、高速に耐える強靭な精神力と、緻密な計算と微妙な駆け引きが必要な、厳しい厳しいレースなのであります。

 現在のインディカーは、イタリアのダラーラが製造する共通シャシーを使用するワンメイク状態。タイヤもファイアストンの一択で、エンジンのみがホンダとシボレーの2社供給。どちらも2.2リットルV6ターボで、最大700馬力を発生するように設計されています。スペックから供給価格まで厳しく制限されているので、各チームのセットアップの能力が試されることになります。こうして「資金力に拠るチームの実力差」を埋めようとしているわけです。ちなみに今回決勝に出場した33台の内、ホンダのエンジンを搭載している車両は18台でありました。

こちらが佐藤琢磨選手の駆る30号車。もちろんエンジンはホンダを搭載している。