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 「M・ベンツはいったい日本で何車種出すつもりなんだ?」
 「BMWもアウディも片っ端から出しているからな。ジャーマンスリーの盟主として、後には引けないのだろうよ」
 「まあ何車種出しても、俺たち下級国民には関係ないけどな(笑)」
 (以上、小田嶋隆先生調)

今回の試乗はメルセデス・ベンツのGLCクーペである。

 ご存じかどうか。日本で一番売れている輸入車はM・ベンツである。

 M・ベンツの1位は4年連続のことで、2位のフォルクスワーゲンに1万5000台もの大差を付けての“圧勝”である。高級車のM・ベンツが「一番売れているガイシャ」というのもすごい話だが、仕組みは簡単で、ラインナップの数が多く、また富裕層に絶対的なチャネルを持っているヤナセが今でも大多数を売っているからで、極めて単純な話である。

 Aクラスの最廉価版を買えば、車両価格は328万円。
 Gクラスの最高級品を買えば2000万円超。
 文字通りのフルラインナップである。

 今回試乗したのは、そのフルラインの中でも「稼ぎ頭」であるSUVの、GLCクーペである。試乗したのはスキーシーズン真っ最中で、著しく季節感のズレたレポートとなってしまうのだが、どうかお許しいただきたい(個人的には当記事が掲載される週末にもスキーに行くので、あまり違和感はないのだが、やっぱりちょっと遅過ぎましたよね)。

約束の時間から20分遅れ、有罪決定

 試乗コースは奥志賀高原へ向かう雪道である。ナビゲーターは不肖の娘。
 グランフェニックスの宿泊をエサに連れ出したというわけだ(昔は「スキーに行くよ」と言えば大喜びしたものだが、最近はバイトだのゼミだの言って親との行動を避けようとするのである。辛い……)。

 娘は都内某所でバイトをしている。なにやらシフトというものがあるらしく、自分の都合で勝手に休むことができないそうである。あらかじめ娘のスキー道具一式をクルマに積み込み、バイト先近くで彼女の仕事が終わるまで待機した。

 男を平気で待たせるようなバカ女にだけはなってほしくない。そのように育てた覚えもない。約束した時間通りに来いよ。

 しかし、10分経っても15分経っても娘は現れない。LINEにメッセージを送っても既読にすらならない。いったい何をしているのだ。
 約束の時間から20分も遅れて娘は現れた。完全に調子に乗ったバカ女である。
 許せん。よし、今日こそはパパがバシッと「君は間違っている」と言ってやる。

 街灯に照らされた道をダッシュで走って来た娘が助手席のドアを開ける。ハアハアと荒い息遣い。チンタラ歩いてくるよりはマシだが、遅刻は遅刻である。

遅刻をする女はバカ女である。パパは断じて許しません。