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「勉強中」は本当だった!

:もちろん一切秘密です。それこそ家族にも話すなと言われていました。それでもどこから漏れるのか、チラチラと噂には出てしまうんです。早耳の雑誌には「ホンダがF1に参戦決定」なんて臆測で記事が書かれたりもしました。でも対外的なオフィシャルの回答は何を聞かれても「勉強中」というものでした(笑)。

F:「勉強中」、以上。と(笑)。受験生みたいですが、実はもうバリバリ開発を進めていた。

:いえ、最初のころはバリバリじゃないですね。まずはレギュレーションの理解から始まりました。「今のF1ってどうなっているの」というところからです。だから煙幕のつもりで話していた「勉強中」というのも、決してウソではなかったんです。

 当時運用されていたレギュレーションは、2010年に決められたものです。他のチームは、みんなスタートからそのレギュレーションに沿って開発を進めています。進めていますというか、そもそものルールを決めているのも彼らです。

F:「彼ら」というのは、つまりメルセデスとフェラーリですか。

:あとはルノーですね。この3社が決めています。

F:参戦するメーカーが大会のレギュレーションを決めるのですか。何かシックリこない話ですね。

:危険を伴うレースですし、なにより巨額のマネーが動きますから、そこは(主催するFIAと)参加者が十分にやり取りをした上で行うんですね。次回決まる新レギュレーションは、我々も検討メンバーに入っています。ここでやっとスタート地点が同じになるというわけです。

F:なるほど。ともかくそれで念願かなってF1のチームに入ることができたと。勤務地はイギリスですか?

:はい。イギリスです。

F:ご家族もご一緒に。

:はい、一緒にイギリスに来てもらっています。家族にはものすごい負担をかけているかな、というのが正直なところです。しかも世界中で行われる21戦すべてに(自分は)帯同するわけですから、家族をイギリスに残して自分は国外に出ていることがほとんどです。

F:まあでも留守にするのは奥さんが日本にいてもイギリスにいても変わらないですよね(笑)。

:そうなんですけどね。あとは子供の学校の問題とか。自分はF1が好きだからこんなにありがたいことはありませんが、家族にしてみれば何のメリットもないわけで。

F:お子さんがイギリスで教育が受けられるなんて最高じゃないですか。最高のメリットですよ。

:そうですね。英語環境で育てるというのはメリットではありますね。