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F:はじめまして。今日はよろしくお願いします。お忙しいところお時間を頂き恐縮です。

湊谷さん(以下湊):いえ、決勝は明日ですから大丈夫です。

F:湊谷さんは何年入社ですか。

:僕は2009年の入社です。大学では機械工学を専攻していました。専攻は機械ですが、やっていたのはソフトウエア回りばかりで、お医者さんが学会で使うウェブサーバーの運用とか、機械とは縁遠いことばかりに取り組んでいました。だから機械工学と言っても、実際に油で手を汚したことはないんです。

F:なるほど。メカなのにソフトばかりを。

:ええ。アルバイトもそうで、ずっとプログラムを作っていました。CTスキャナーの輪切りの画像を3D化するとか、そんなソフトを作る会社で、バイトなのに結構な責任とボリュームの仕事をしていました。そこの社長さんからは、「このままウチに就職しろよ」と、随分誘っていただいたのですが、就職はホンダにしました。

ホンダに落ちていたら……どうしていたんだろう。

F:どうして自動車会社、どうしてホンダだったのですか?

:単純にF1がやりたかったからです。だからホンダしか受けませんでした。

F:1社しか受けなかった。もしホンダを落ちたらどうするつもりだったのですか。

:どうしたんだろう……。考えていませんでした。いや、いま考えると恐ろしいです(笑)。「俺はホンダに入ってF1をやるんだ」、と自分で勝手に決めていましたから、他の選択肢は一切考えていませんでした。

F:F1への思いはいつごろから始まったのですか。

:1997、98年ごろでしょうか。ミカ・ハッキネンと、ミハエル・シューマッハが戦っていたころですね。それからドップリF1の魅力に取り憑かれてしまい、それがいつか「ホンダに入ってF1をやる」という思いに変わっていったんです。

F:なるほど。

:就職したのが2009年。つまりホンダを受けて内定をもらったのが2008年の夏ごろということになります。2008年の暮れに、ホンダはF1から撤退することを表明したんですよね(苦笑)。

F:あー。

:マジかーって感じです。心底ガッカリしました。