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 みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。

 本業の出張で広島に出かけていた金曜日。担当編集マイトのY氏から電話が入りました。

 彼からの電話は、原稿の催促とか、誤字や脱字が多すぎてこのままじゃ記事になりませんとか、ともかくロクなものがありません。だからスマホの画面にマイトのY氏の名前が表示されると、本当にドキッとします。

 ですが今週はめでたく入稿も済み、校了の知らせもいただいていましたから、このタイミングで文句を言われる覚えはないわけです。ハテなんの用事だろう、と訝しく思いながら電話に出てみると、彼は開口一番、「既にご存じのこととは思いますが……」、と焦った様子で言うのです。

 こちらは朝から昼飯もヌキで打ち合わせをしていましたから、社外の出来事には一切触れていません。え? なになに? と返すと、「スズキが大変なことになっています……」と。

 ご存じ、スズキ大リコール事件の報道です。

 「まじめまじめまじめ」と連載にタイトルを付けたくなるような超マジメ企業が、裏側ではこのような不正をはたらいていた。第三者機関による調査報告書には、制動力検査における不適切行為、走行・速度計検査における不適切行為、かじ取り角度検査における不適切行為、前照灯主光軸検査における不適切行為、サイドスリップ検査における不適切行為、外観・構造検査における不適切行為、下回り・エンジンルーム検査等における不適切行為、不良発見時の取扱いに関する不適切行為……と、“不適切行為”の項目がずらりと並んでいます(同社のリリースはこちら)。

 詳しくはリンク先から報告書をお読みください。

 せっかく書いた記事ですが、このまま掲載していいものかどうか、マイトのY氏と大いに悩みました。結果、「ジムニーに罪はなかろう」ということで、そのまま載せることと相成りました。載せることにはなりましたが、非常に複雑な心境です。

 いったいこの会社はどうなっているのでしょう。
 しばらくしたら鈴木社長にもインタビューを申し込んでみようと思います。

 それでは、ここからはいつも通りにヨタにまいりましょう。
 いよいよトライアスロンのシーズンが始まりました。

 今シーズン1発目の大会、IRONMAN 70.3 TEXASに出場するため、はるかアメリカ・テキサス州はガルベストンまで行ってまいりました。

今回は兄弟チームであるMITの面々に交ぜていただきました。左から、私、横瀬武夫くん、吉崎英司くん、木田鉄士くん。みなさん飲食関係のプロフェッショナルです。

 意気揚々と乗り込んだテキサスですが、「嵐を呼ぶ男」としてその名も高い不肖フェル。
 昨年は実に5つもの大会を荒天で潰した実績がございまして、今年ものっけからやってしまいました。何と最後のランセクションで雷雨が襲来し、大会が中止となってしまったのです。

ご覧くださいこの惨状。強風でフェンスはなぎ倒され、テントは吹き飛ばされ、エイドステーションのボランティア陣は蜘蛛の子を散らすように逃走し、大会会場はメチャクチャに破壊されてしまいました。こりゃトライアスロンどころじゃありません。
またフェルさんですか! 責任とってください! と怒り心頭のMITメンバー。本当に申しわけない。どこかでお祓いでもしたほうがいいのでしょうか……。

 大会は残念な結果となってしまいましたが、ガルベストンとヒューストンで過ごした時間は、それは楽しかった。何しろ彼らは飲食のプロ。食事に出かけるレストランにハズレはなく、頼むメニューの構成にしても、自分では絶対に選ばないような料理を「これは絶対にイケますよ」と躊躇なく注文する(ラムのミントチョコレートソースがけなんて、頼むには度胸がいります)。中指にサッとソースを付けて味を確かめるしぐさもあか抜けています。早々に「こいつらプロだろ……」、と見破ったシェフが、チラチラとこちらの様子を窺いに来る姿がおかしかった。最後は支配人とオーナーが出てきて、「料理はいかがでしたか。お楽しみいただけましたか」と尋ねてくる店もあった。プロ同士で通じ合うものがあるんですな。

ここは美味しかったな。古い銀行を改装したというガルベストンのイタリア料理「Riondo’s Ristorante」。支配人にあんたはカラテをやるだろう。カラテ、カラテ、と言われました。日本人がみんな空手をやるわけじゃないんですよ。

 NASAに見学に行きました。最近は予算不足にあえいでいるそうですが、頑張って宇宙開発にいそしんでいただきたいものです。アポロの打ち上げには子供のころ、そりゃコーフンしたものです。当時流行ったアポロキャップをお年玉をはたいて買ったことを覚えています。確か1700円したはずです。何しろ50年前の1700円ですからね。今なら5000円くらいに相当するんじゃないでしょうか。

NASAに展示してあるサターンⅤ型ロケット。全長110.6m。こんなものを50年も前に造って月まで飛ばしたのですから、やはりアメリカはすごい国です。

 何と我々の滞在期間中ヒューストンのミニッツメイド・パークにヤンキースが遠征に来ておりまして、しかも先発投手は田中マー君(田中将大選手)が務めるという。こりゃ見に行かねばなりますまい。

厳しいアウェイの試合でもよく踏ん張りました。リリーフ投手がバスバス打たれて逆転負けしてしまいましたが、田中投手、大変なスターですね。

 アメリカのベースボールと日本の野球は違うスポーツといわれますが、確かにスタジアムの雰囲気が違う。私はふだんめったに野球を観ないのですが、本当に楽しかった。日本でもマツダスタジアムあたりに行ってみましょうか。

軽妙なかけ声で飲み物を売るお父さん。瓶や缶を入れた箱を担いでいますから、メチャ体力がいりそうです。

 というわけで、潰れたトライアスロン以外は大変楽しいテキサスでございました。

 さてさて、それではボチボチ本編へとまいりましょう
 スズキ・ジムニーの開発者インタビュー最終回です。