米:まずコンセプトがあって、基本骨格が決まる。それを基にデザイナーが絵を描くわけですが、はっきり言ってジムニーはサッと早く決まりました。ああ、もちろん複数案があるのですが、それも含めて早く決まりました。作り込んで行く上で、もうちょっとこの辺を1mm出して、こっちを削って、なんていうやりとりはもちろんあるのですが、基本的なこの外観、プロフィルというのは最初に決めたものから変えていません。それがまさに、いま売っている今回のジムニーのデザインなんです。
F:なるほど。コンセプトから基本骨格が決まったら、あとは一気呵成に。クルマが仕上がってから言われることでは何が多いですか。
米:うーん、あまりないんですけど、例えば中が狭いというのは言われますよね。
F:自分が乗った時はあまり狭いと感じませんでしたが、こればかりは軽の枠があるからどうしようもありませんね。縦方向はボンネットがあるから仕方がないとして、車内幅は、例えばスペーシアと比べて10cmも狭いとか、実際にそれくらい狭いのですか。
米:いえいえ、そんなに狭くはないですよ。そんなには違いません。車内スペースで一番言われるのはトンネルです。後輪を回すためのドライブシャフトを通すトンネルが車内に出っ張っているでしょう。目いっぱい小さくしましたが、それでもやはりあれは言われますね。これ以上小さくできないところまで、詰めに詰めてはいるのですが……。でもこれは構造上仕方がないので、ごめんなさいと。
4ドア版の話は「無理です」と一蹴
F:この部分は潔くごめんなさい、と。ところで日本人の大好きな4枚ドアを出す予定はないのですか?
米:今のところありません。お客様のヒアリングでも、通常使うのは1名か2名という方がほとんどです。後ろの席は、たまに使う程度なんですね。だから今回も全世界でこのコンセプトを押し通そうと。それでこの3ドア1本でやっているのです。
F:それでも4枚ドアを望む声はありますよね。
米:あります。それはたくさんあります。
F:要望はあるし、実際に売れるでしょうね。ジープのラングラーは、4枚ドアを出したら一気に日本で売れ始めました。出した年の前年度比の伸び率が、確かダントツで輸入車ナンバーワンになりました。
米:4枚は、まず軽として出すのがムリなんですね。何しろボンネットがありますから。どうしても全長が収まらない。
F:何とかギュッと詰めてできませんか。
米:ムリです(笑)。
F:そんなバシッと……(笑)。
米:確かに4枚ドアを望む声は多く寄せられているのですが、今の形がいいという新しいお客さんにもたくさん来ていただいているので、計画はないですね。それにホイールベースを延ばしてしまうと、アングルも変わってきて最小回転半径も大きくなってしまう。すると悪路走破性も変わってしまう、そうなるともう……。
F:ジムニーがジムニーでなくなってしまう、と。
米:そういうことです。
F:最大登坂角度というのでしょうか、ジムニーは何度くらいの坂まで上れるのですか?
米:うーん。そういう数字は……あまりピンと来ないですね。ジムニーはクルマとして上れるところなら大抵は行けちゃいます。数字は言っていないんですよ。
F:最大の数値をカタログに出している会社もありますよね。なぜジムニーは出さないのですか。
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