:いやもうキてるキてる(笑)。この仕事、やっぱり普通の仕事とは違います。緊張感が桁外れに違う。ワクワク感、ドキドキ感も違う。緊張感を持って、レースを通して人に喜んでもらうとか、人を奮い立たせるというのは、本当にものすごく大事だと思う。

F:緊張感が桁外れ。それはその通りだと思います。でもそれはF1に携わっておられる山本さんだからこそ言えることですよね。翻って現在のホンダはどうでしょう。ホンダという企業に、山本さんが持たれているような緊張感があると思われますか。何というか、セナが乗っていたF1第二期のような勢いのあるホンダ、イケてるホンダというイメージからは、かけ離れてきてしまったような気がするんです。せっかくのメルボルンの復活劇に水を差すようなことを言って本当に申しわけないのですが。

広報松本氏(以下広報松本):ちょ、ちょっとフェルさん。そういうのはやめようよ。

企業を、日本を取り巻く閉塞感

F:ホンダF1黄金時代、1990年前後の生産台数は、ワールドワイドで200万台程度でしょうか。それが今では535万台(2018年累計)。昔とは違います。ホンダも立派な大企業になりました、ということなのでしょうか。

:これはホンダだけの問題ではないと思いますね。日本の企業を取り巻く環境が良くないのだと思う。

ホンダのF1チームは、何と今年からアシックスとパートナー契約を結んでいて、チームのユニフォームからシューズまで、すべてがアシックスなのでした。繋がるなぁ。
ホンダのF1チームは、何と今年からアシックスとパートナー契約を結んでいて、チームのユニフォームからシューズまで、すべてがアシックスなのでした。繋がるなぁ。

F:二言目にはガバナンスだコンプライアンスだ、という昨今の風潮ですか。

広報松本:フェルさんフェルさん……レースの話をしましょうよ。レッドブルのシャシーとのマッチングとか、そりゃあ苦労したんですから。ねえ山本さん。

:ガバナンスもコンプライアンスももちろん大事。企業活動をする限りは、守らなくてはいけないものは絶対に守らなくちゃいけない。レースだって、それは例外ではありません。でもね、その前にやることがあるでしょうと。僕が20代のころなんて、例えば一つの書類を上司のところに持って行ってサインもらうだけなのに、ものすごく怖い人がいたんですよ。こんなのダメだ、全部書き直せと。メチャ叱られて怒鳴られて、でも決して理不尽じゃないの。筋がビシッと通っているの。だから反論できない。こっちも悔しいから必死に考えるじゃない。1回でサインをもらおうと、必死になって頑張るじゃない。仕事ってそうやって覚えて、精度を上げていくところがあるじゃないですか。

F:昔はいましたよね。鬼上司、鬼軍曹。

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