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(F1編の前回はこちら→「日本航空山田機長から、ホンダへの手紙」)

 レッドブルとタッグを組んで挑んだF1世界選手権(F1GP)の初戦(オーストラリアグランプリ)で、イキナリ表彰台に立った今季のホンダF1。第2戦のバーレーンではマックス・フェルスタッペンが、パワーユニットにトラブルが発生したフェラーリを追い詰めて、あと一歩でオーバーテイク、再び3位表彰台という展開だったのだが、ラスト3周でルノーの2台が故障しコース上に停止するアクシデントが発生した。結局ペースカーが入り、ゴールまで順位が固定してしまった。惜しくも表彰台は逃したが、今回もレッドブル、トロロッソの4台が完走、うち3台はポイント獲得となり、勢いは止まらない。

 3月17日から12月1日まで全21戦。10カ月にわたり世界を転戦するF1GP。
 たくさんの企業の思惑が複雑にからみ合い、巨額のマネーが動き、大勢の“大人”が働いている。

 この4月から、新しく設けられた「F1マネージングディレクター」職に就任された山本雅史氏のインタビュー。後編は「仕事とは何か」「マネジメントとは何か」の2点について詳しくうかがった。インタビューの場所は前号に引き続きメルボルン国際空港のエアラインラウンジである。

3月9日の「2019 Honda F1 Kick Off 記者会見」にて。左から山本雅史モータースポーツ部部長(当時) 、ヘルムート・マルコ レッドブルモータースポーツアドバイザー、 田辺豊治ホンダF1テクニカルディレクター。山本さんは4月からホンダF1マネージングディレクターに就任された。

F:F1のチームという大所帯を率いて世界を回るお仕事で、一番気をつけていることは何ですか。もちろんレースなのですから、勝つことが究極の目的なのでしょうが、それでは勝つためには何をするべきか。そのあたりを教えてください。

山本F1マネージングディレクター(以下山):それはもう、人の倍モノを見たり、人の倍、物事に興味を持ったりすることです。大事なのは「なぜなぜ」です。

F:なぜなぜ、ですか?

:うん。なぜなぜ。これの繰り返し。自分が見て、考えて、それでも理解できないことは人に聞く。今の“大人”ってええかっこしいが多いから、人に聞かない。聞くことが恥ずかしいと思っているのか、それとも変なプライドが邪魔をするのか、ともかくちゃんとわかっていないのに、理解していないのに、わかったフリをして、それを人に「なぜですか?」と質問しない人がすごく多い。

F:確かに、「こんなことも知らないの?」とバカにされるのが怖くて、人に物を尋ねるのを避ける人は多いかもしれません。特にある程度年齢がいくと、その傾向は強まる気がします。