「軽」に乗る日はいつも憂鬱、なのだが……
軽自動車の試乗をする前は、いつも憂鬱になる。
「この小さい車体の中に、よくぞこれだけの機能を詰め込んだものだ」とパッケージの妙に感動する一方で、街を走ると心無いイジメ運転にウンザリさせられるからだ。
都心部を走るとよくそういう目に遭う。一般道を走っていても、ムリな割り込みや追い抜きなど日常茶飯事(特に個人タクシーがひどい)。高速道路で追い越し車線を走ろうものなら、後ろにピッタリ付けられて、「オラオラオラ!」とあおられ、パッシングされ、時にはクラクションを鳴らされる。軽自動車は、どうしてここまでナメられるのだろう。
昨今の軽自動車は性能が向上しているので、クルマの流れに乗り遅れることなど決してない。それではこのいわれのない差別はどうしたことだろう。
車両身分制度の最下部に位置する、ということなのか。
だがジムニーは違う。

あおられない、ムリに割り込まれない、無論クラクションも鳴らされない。
それどころか、すれ違うクルマから羨望の眼差しで見られるのだ。
コンビニの駐車場に止めようものなら、「ジムニー、どうですか?」と何度も声をかけられる(大袈裟ではなく、試乗期間中、ジムニーとシエラで都合7回もあった)。
ジムニーはどうしてここまで注目を集めるのだろう。
その人気の秘密はどこにあるのだろう。

20年ぶりのフルモデルチェンジ。軽自動車唯一の本格オフロードカー。長い長い納車待ち、などなど。
ヒントになるキーワードはいくつもある。だがそれだけでは、この異常とも言える人気の説明はつかない。
今年になって、慎重なことで有名なスズキもようやく生産台数を増やし、「シエラで2年半」などという沖縄の建設現場のような待ちは幾分解消されたようだが、それでも依然として他の国産車と比べれば長い長い納車待ちは続いている(生産ラインの増設で月産能力が1.5倍になりましたが、それでも半年待ちは覚悟したほうがいいようです:AD高橋)。
軽自動車のジムニーと、小型自動車のシエラの試乗期間はそれぞれ4日間。
長期試乗を旨とする不肖フェルとしては短い時間だが、それでもスズキの広報氏曰く、「ジムニーの貸出しは基本、日帰り。長くても1泊2日です」とのことなので、かなり無理をしてくださったのだろう。
街中でじっくり味わい。オフロードにも出かけ、300km超の距離での高速走行も試してきた。
日本の至宝。スズキのジムニー試乗記をとくとご覧あれ。
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