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最新モデルに乗り換えたい? ちょっと待った。

 こんにちは、AD高橋です。

 昨年末、「ベストカー」をはじめ、数々の自動車媒体で執筆している友人のライターH君と会ったときにこんな話が出ました。

 「最近のマツダ車は年次改良での進化がすさまじく、改良も頻繁に行われる。そのためマツダ車はいつ買ったらいいかわからない」

 たとえばCX-3は2015年2月に発表。
 そして同年12月に早くもエンジンのノック音を抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を全車に標準装備。そしてフロントドアガラスが厚くなり遮音性が向上するなどの商品改良を行います。

 2016年10月には「G-ベクタリング コントロール」が全車標準装備となり、2017年6月にはディーゼルエンジンのみの展開を変更し2Lガソリンエンジンを追加。2018年5月の大規模改良では新開発の1.8Lディーゼルエンジンが採用されるとともに、G-ベクタリング コントロールの制御変更や安全装備の充実を図っています。

2015年2月デビュー時のCX-3。

 この話を藤原さんにぶつけてみたところ、こんな答えが返ってきました。

 「ショールームに何種類かのクルマが並んだとき、『こっちには新しい技術が搭載されているのに、隣のクルマには古い技術が載っている』と、古い技術が搭載されたほうは“劣等生”になってしまう。これはお客様に申しわけないこと。とくに先進安全技術は、クルマのセグメントなど関係なく重要。だからどのモデルにも最新の技術が搭載されるようにしている」

 確かに、同じメーカーなのにグレードが違う先進安全技術が載っているクルマが併売されていると、「おや?」と思う人もいるでしょう。

 でも「数カ月待てば新しいものが出てくるかも」と考えると購入タイミングがつかみづらいし、なにより買ってすぐに自分のクルマの装備が古くなってしまったらがっかりしそう、とも感じます。

 その疑問に藤原さんは

 「うーん、その場合は、今のクルマを手放して最新モデルをご購入いただくのがいいかもしれませんね。高い残価がついているはずだから」

 とお答えいただきました。

現在発売されている最新のCX-3。

 クルマはほとんど走行していなくてもナンバーが付いた瞬間から、売るときは中古車扱いになり、新車よりも価格が下がります(登録済み未使用車がお得に買えるのはそのため)。一方、中古車を探している人の中には1年落ちくらいの低走行車を探している人も多いので、売却額は高値を期待できます。実際、高年式低走行の人気車を一括査定に出せば、「うちに売ってください」という買取店からの電話が鳴りやまないはずです。

 とはいえ、売却額は新車価格より数十万円下がっていることは覚悟しなければなりません。最新のマツダ車に買い替えようが別のモデルにしようがこれは変わらないので、数十万円の下落を「低コストで最新モデルに乗り換えられた」と考えるか「やっぱり損だ」と捉えるかどうかは、その人次第です。

 ただ、家族や仲間といろいろなところに出かけるクルマには、資産価値以外に“思い出”という付加価値があります。

 「そんなの関係ないでしょう」
 「新しいクルマでまた思い出をつくればいいよね」

 と考えられる人ならば何の問題もないですが、割り切れない人も多いような気がします。とくに小さなお子さんは自分が初めて乗ったクルマに対して、親以上に深い思い入れを持っているケースが少なくないようです。

 すいぶん前ですが、フォルクスワーゲンのディーラーを取材したときにこんな話を聞きました。

 「ゴルフを手放したお客様から数日後に『クルマはまだ店にあるか』という電話が入ったんですよ。まだありますよ、とお返事したら、お子さんが『僕のクルマがいなくなった』と何日も悲しんでいるので、最後に家族で写真を撮らせてほしい、と言われたんです」

 こういう話は他社でも何度か聞いたことがあります。

 実は我が家でも、息子が物心ついたときから乗っていた日産ムラーノを手放すとき、息子はムラーノにお礼の手紙を書いてくれました。息子が保育園に行っている間にムラーノは買取店に引き取られていきました。帰宅後、ムラーノがいない駐車場を寂しそうに眺めていたのを覚えています。

日産ムラーノ。

 「新しいのが出た、乗り換えよう」と思ったら、ディーラーに行く前にまず、家族みんなの意見を聞くことをオススメします。