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:そう。今後のことを考えたら、カーシェアリングなどが本格的になればなるほど、クルマの個性をもっともっと大事にしておかないと、誰も買ってくれなくなる可能性があると思っています。クルマを保有していただくためには、ものすごく個性のあるものを造って行かなければならない。個性がないと、本当に誰も見向いてもくれない時代が来ると思います。マツダは2012年から始まった今の世代で、一つ階段を上げられた。マイナスから上に上がってきた。マツダの未来を云々するのであれば、ここでさらにもう1段上げることが何よりも重要です。

F:もう一段。さらにもう一段ステージを上げていく。

:うん。もうすでに始めていますが、マツダのクルマはスモール群とラージ群という2つに分けている。スモール群は今のアーキテクチャーをできるだけ使いながらうまく作って行こうと。そしてラージ群は、もう一段上に飛ばすような状態で考えようと。

マイトのY:以前藤原さんは、「シェアをむやみに上げるより、世界の2%の人に深く長く愛されたい」とおっしゃっていて、読者の方からとても大きな反響がありました。しかし、リソースが限られる中でスモール群に加えてラージ群を始めるというのは、「またマツダが調子に乗って、体力に見合わない拡大に転じた」ということにならないのでしょうか。

:そう言われる方がいるのは存じております(笑)。もちろん、そんなことになるつもりは毛頭ありません。順番に、スモール群は今のアーキテクチャーに近い状態の改良、進化でやると。ラージ群は思い切って行くと。この2つに分けて飛んで行こうと思っています。

ラージ群をやらねばならない理由

F:飛んで行く。とてもいい表現です。マツダのクルマは、スモール群とラージ群に分かれて、スモールは堅実に、ラージは大きな進歩を狙っていく、その心は何ですか。

:ええ。昔とは企業の置かれている環境が違うんです。そっちに行かないと、我々みたいな企業はこれから生きていけないと思う。シェアリングなどに特化してダッと走って行って、MaaSとかやる会社はそこまでしなくてもいいかもしれません。でも我々みたいな企業は、クルマを買っていただかなくちゃ話にならない。シェアリングをするにしても、そもそものクルマに人気がないとシェアなんかしてもらえない。だからこれからは、クルマに相当な個性を持たせないと生き残れないと思う。

F:個性をより強めていかないと、シェアリングやMaaS時代を乗り切れないから、ラージ群で飛ぶ。そこまで危機感をお持ちとは……。

小島広報本部長:そろそろお時間のほうが……。

F:や、スミマセン。それじゃ本当に最後の質問です。2018年6月の株主総会を経て、藤原さんはマツダの副社長に就任されました。専務から副社長になられて、何が大きく変わりましたか。それを教えてください。

:変わらない。何も変わらない。

F:見る範囲やマネージする範囲が大きく広がったと思うのですが。