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 タイヤとシューズ、どちらも「走る」ことを支える大きな役割を持つ。その共通点を見いだすべく、アシックスのシューズ開発者へのインタビューを敢行した(実際は間近に迫った東京マラソンで「ランシューを替えたらちょっとでもタイムが縮まらないかな」とセコく考えて藁にも縋る思いで伺った)。

 それにしても、「ランニングシューズの開発」という、ちょっと特殊な仕事は、いったいどのような人がどのような経緯でやっているのだろう。軽い気持ちで聞いてみたら、話は思わぬ方向に転がり始めた。

お話を伺った、アシックスのパフォーマンスランニングフットウェア統括部開発部長、臼木章さん
と、スポーツ工学研究所フットウェア機能研究部フットウェア機能開発チーム、阪口正律さん

阪口さん(以下阪):いまフェルさんが手に持っているシューズがターサー(TARTHER)というウチのレース用シューズのトップモデルです。今のモデルで35代目になります。

F:35代目! そんなに長寿モデルなんですね。すごい。開発スタッフは何⼈くらいで、どれくらいの開発期間をかけるものなのですか?

臼木さん(以下臼):お店で売られるインラインの商品の担当である我々のチームで、20人弱といったところです。開発期間は1年半ぐらいですね。

:我々研究所の人間はこうしたインラインの商品に携わりながら、並行して現状のモデルとはまったく違う構造、材料を使い、今までとは違う考えによるシューズの研究もしています。そこはインラインとはまったく異なるスケジュールで動いています。だから新製品の開発は、本当にモノによってかかる期間が大きく異なっています。

F:おふたりとも実際にシューズの開発に関わっているのですか。それぞれにご担当のシューズがあるのですか。

:私は開発部門に所属していますが、今は全体をまとめて見ているので自分のアイテムは持っていません。以前はそれこそフェルさんに履いていただいているGT-2000シリーズや、ニンバス(NIMBUS)の開発を担当していました。

F:阪口さんはどうですか。ご担当は。