:そうです。本当にそう。ど真ん中のクルマを買う人は、一番要求が多い人たちです。なぜなら、用途が一番広いから求めるものも幅広いのです。だから私はプリウスって本当にすごいクルマだと思う。あのスーパーど真ん中のセグメントで、みんながワッと買ったのですから。

F:確かに。プリウスは長らく「日本一売れているクルマ」の地位にありましたものね。

:そう。なのでみんなそこに入りたがるんですよ。やっぱり一番ボリュームが大きいので。うまくいけば全世界をたったひとつのモデルですべて対応できてしまう。

F:一方で、べらぼうに要求が高い。それにすべて応えられるのかと。

:うん。そういうことだと思うんです。だからたぶん大型のトラックとか、テスラのモデルSのようなクルマとか、デカいピックアップトラックとか、逆にうんと小さいクルマとか、そうした極端なクルマのほうがEVはやりやすいんです。割り切って作れるから。

F:そう言えばテスラは今度トラックも出しますね。

:あれも正しい解のひとつです。イーロン・マスク、頭いいんです。

F:その前に、遂に廉価版のテスラも出しますね。だいぶ難産のご様子ですが。

専業メーカーゆえの強み

:モデル3ですね。あれはどうなのかなと思っています。それこそ一番の激戦区。一番難しいところに入ってしまったので。発表した当初から比べると、だんだん値段が上がって行って、3万ドルちょっとと言っていたのが、昨年末には4万6000ドルになりました。あれはものすごく苦しいんだと思いますよ。業界では3万8000ドルぐらいの製造コストが掛かっているだろうと言われています。

F:ひょえー。

:そういう意味では、一番苦しいところに彼らも入って行ってしまいました。でも一方でスポーツカーもやると言っているし、セミトラックをやるとも言っている。EVとしてはそれが正しい。それが今の時代のEVに合うクルマです。日本の会社はなかなかそこへ踏み込めない状態でいるんですよ。

F:どうして踏み込めないのでしょう。

:答えは単純明快です。それだけの台数を確実に売れるプラットフォームを造って、それを回収できるだけの台数が出るとは思っていないからです。テスラは他に背負っているものが何もない。あれを造ってしまえばそれしかない。身軽なものです。アメリカの工場だってトヨタから居抜きで買ったわけでしょう。NUMMI(ヌーミ)を。初めからEV専用という強みがあったんです。なおかつEVとしての技術も実は結構高かった。

F:うーむ。

 意外や意外。藤原さんはテスラのことを非常に高く評価していらっしゃる。
 そしてプリウスも。

 3連休にガッと書き溜めて、今週は記事を連発しようと思っていたのですが、ヨタで書いた通り遊び呆けて書くことができませんでした。この週末はスキーだしなぁ……。週2掲載は実現できそうにありません。とまれ、「はいはい、もう勝手にしてください」とマイトのY氏からはご快諾をいただいたので、大明神降臨祭はまだまだ続きます。ご期待ください!