藤:どうだろう。個人的にはやっぱり難しいのかなと思ったりもするのだけれど……。でも結局時間が経てばまあまあ増えていくんですよね。それに合わせて駐車場がどんどん大きくなっていく、と。しかし今日はなかなか本題に入りませんね。そろそろ本題に行きましょう(笑)。
F:本題に行く前に米国ネタをもう一つだけ。マツダはアメリカの販売ネットワークの大改革を行っていくと聞いています。ですので、「やはりマツダもアメリカに重きを置いているのか」と思っていたのですが、今日の藤原さんのお話だと、5市場等距離外交で、実はアメリカだけを特別に注力しているわけではないと……。
藤:いやいや、アメリカには重きを置いています。アメリカという国はものすごく裾野が広い。懐が深いんですよ。リーマンショックでガタガタに落ちても、3年たったらまたちゃんと元に戻る。何があっても、1600万台から1800万台近くのクルマがキチンと売れる。自動車会社としては、非常にオイ……もとい、魅力的な市場です。やっぱりアメリカを抜きにしてクルマは語れないんですよ。
アメリカ市場での成功なしに未来は語れない
F:アメリカ抜きには語れない。だから外せない。
藤:そう。絶対に外せない。アメリカで成功するかどうかによって、利益も全然違ってきます。スバルさんを見ても、ホンダさんを見ても、トヨタさんを見てもそうです。アメリカの事業を何とか成功させなくちゃいけない。アメリカを重視しているのは確かです。それは間違いない。ではそのアメリカをどうやって立て直すか。それをずっとやってきたんです。販売ネットワークが今まで少し弱かったものですから、いまはそこを強化しています。日本には「新世代店舗」というのがあって、お店がきれいになっているでしょう。
F:目黒の碑文谷の店舗とか。
藤:そうそう。碑文谷とか高田馬場とか。もう見てもらってますよね。ね?
F:……前はよく通るのですが、お店の方にはまだちょっと……。
藤:行ってみてください。これからアメリカでもそうしていきます。販売店のオーナーに、「次はこんな新しい商品を持ってくるから、それに合わせてこういう戦略でやろうよ」と彼らに投資をお願いしているんです。彼らだって、将来のビジネスに成功すると思わない限り投資をしないですからね。お店にしたって、数億円とか掛かっちゃうので。
F:数億円! そんなに……。
藤:お客さんも、今までの値引きばかりを狙っている人じゃなくて、もう少し違う層を取りに行きます。
F:アメリカにおけるマツダのインセンティブ(ディーラーに対する販売奨励金)はどうなっているのですか? 国産ではSUBARUが最も低い(=値引率が低い)と聞いているのですが。
藤:これはある程度数字が出回っているのでお話ししますが、ウチはちょうど真ん中くらいです。たぶんフェルさんの言うようにSUBARUさんが一番少ないです。その他銘柄は、時期によって変動しますが。
F:どうしてSUBARUはあんなに良いのでしょう? あんなふうにできたらいいですよね。
藤:いいですね。ああいうふうになりたいですね。

他社をして「ああいうふうになりたいですね」。
こんな正直なセリフをおっしゃる自動車会社のトップは藤原さんをおいて他にいない。
大明神の大明神たる所以である。
ありがたや、藤原大明神。一同広島に向かって遥拝。
家内安全商売繁盛。大明神のご託宣は次号に続きます。
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