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F:もはや本連載の恒例となりました。藤原大明神の新春大放談です。本年もよろしくお願いいたします。お立場が変わられましても(藤原さんは昨年の6月に代表取締役副社長に就任された。今や文字通りの天上人である)、変わらぬお話をいただければと思います。

藤原清志・マツダ副社長

藤原清志・マツダ副社長(以下藤):それよりそれ、どうしたんですか? そのオリンピックのピンバッジ。

F:東京五輪の成功を祈念いたしまして、こうして胸に着けております。

:らしくないね。何か裏があるでしょう(笑)。

F:なんとか開会式入場チケットが手に入らないかな、と……(笑)。

高橋マンちゃん(以下高):開会式のチケット、30万円ですってよ。僕が生で見たいと思っている陸上男子100m走の決勝は、13万円だそうです。

:開会式が30万円!

F:定価で? 転売価格でなく?

:もちろん定価です。

マイトのY:すると転売ヤー価格は100万くらいは行くか。

F:よーし!(笑)

:いまの「よーし」は何だ(笑)。

マイトのY:……クルマの話をしましょう。貴重なお時間をいただいているので……。

アメリカ・ファーストでメキシコ工場はどうなる?

F:そうでした。それじゃ早速。新年早々少し嫌な話を伺います。「NAFTA(北米自由貿易協定)」が終了し、米国・メキシコ・カナダ協定ことUSMCA、いわゆる「新NAFTA」が始まってトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」がいよいよ明確になってきます。せっかくメキシコに工場を作ったマツダに、高い関税がかかってしまう可能性がある。この点はどのようにお考えですか?

:そっちから来ますか(笑)。高い関税と言いますが、そう簡単にはならんでしょう。

 新NAFTAにはいろいろな基準があるわけですが、アメリカの狙いは端的に言えば雇用の創出です。アメリカにできる限り雇用が生まれるように持っていこうとしているわけです。だから……。

F:つまり、アメリカは自分の国に雇用を作れたらいいのだから、メキシコに工場があっても、アメリカから素材や部品を買ってくれれば、メキシコで最終製品を作ってもいいわけですね。そういう一定の条件を満たせば、旧NAFTAと同じにしてやるぞ、という事ですか?

:そうです。旧来のNAFTAと同じ状態にするためには、アメリカに雇用が生まれるようにせよ、と。

マイトのY:(ノーパソをがちゃがちゃいじって)JETRO(日本貿易振興機構)のビジネス短信によれば、トランプ米大統領は自動車を米国へ無税で輸出する条件として「原産地比率(現行62.5%)の75%への引き上げや、時給16ドル以上の高賃金の労働者による生産比率(40~45%)など、USMCAが定めた要件を満たす必要があると述べた」んだそうです(こちら)。

F:「アメリカ製の部品を買え」、と明確には言わず「時給16ドル以上の給料を払っているメーカーの製品じゃないとダメよ」という言い方をするんですね。となると、メキシコではあり得ない。結局、アメリカかカナダの製品を買うことになるわけか。はー。そんな仕組みに……。

:結局はメキシコでクルマを作っている事業者も、そうすることにより、アメリカに雇用が生まれ、お金も落ちる、というのが狙いなのです。

F:すると、現在構築されているサプライチェーンを組み直さなければいけなくなってしまう。