2021年、インドでは多くのスタートアップが大きく躍進した。同年の資金調達の総額は420億ドル(約4兆7978億円)に達し、新型コロナウイルスの感染拡大が起きる前の19年と比較すると3倍を超えて伸びている。

 大型の資金調達にこぎつけた企業は枚挙に暇(いとま)がない。例えば米アマゾン・ドット・コムとインドで競合するインターネット通販大手、フリップカートは36億ドル、デリバリー大手のスウィギーやスマートフォン決済大手のペイティーエムはそれぞれ13億ドル、11億ドルと、1社で10億ドルを超える資金調達を実施した件数は10件を超えた。1億ドル以上で見れば200件を上回る。ちなみに日本のスタートアップにおける21年最大の調達額は約400億円(約3億4000ドル)程度で、資金調達の総額は約8000億~9000億円だったとみられる。両国を比較すると、インド・スタートアップの調達規模の巨大さが一目瞭然だ。

新型コロナウイルス禍でデリバリーサービスを手がけるスウィギーやゾマトのサービスが支持を集めた。(写真:AFP/アフロ)
新型コロナウイルス禍でデリバリーサービスを手がけるスウィギーやゾマトのサービスが支持を集めた。(写真:AFP/アフロ)

 100万ドル以下の「中小規模」の調達案件も大きく伸びている。シードステージと呼ばれる起業前後のスタートアップによる資金調達件数は21年に1000件超と前の年比で約3倍に拡大した。5~6年ほどの間に続々と登場したスタートアップが着実に成長して市場での評価を獲得し、その結果次々と資金調達に成功したとみることができるだろう。

 インドといえばインフラは脆弱で経済・教育格差が激しく、新しい事業を興そうにも多くの障害が横たわる市場というネガティブな印象が強かった。「そんな環境で、スタートアップが成長することなど可能か」という疑念が長く持たれていたのも事実だ。だが、今はそんな疑念は払拭されており、スタートアップ成長のエコシステム(生態系)も既に確立されつつある。

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 インドでスタートアップが活気づいた理由は様々だ。

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この記事はシリーズ「目覚める巨象、インドの変貌」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。