みんな大好き、金髪のロシア女性
押井:歴代のボンドガールって、ただのボスの愛人だったりとか、地元の連絡員だったりとかその程度だけど、ダニエラ・ビアンキは違うんだよ。自分を巻き込むスキャンダルの道具であると同時に本当に愛し合っちゃったりした。なおかつ典型的なイメージのロシア女。白い肌の金髪。
絵に描いたようなロシア美女です。
押井:うちの空手道場にもロシア支部があるから、時々金髪のお姉さんがロシアから稽古に来るんだけど、みんな注目するんだよ。ロシアの女性はみんな金髪というわけじゃないけど、やっぱり日本人の男にとっても金髪のロシア女というのはどこかしらキモなんだなと。この間、20周年の演武会があってビデオを撮ったんだけど、カメラマンが金髪の姉ちゃんばっかり撮ってやがってさ。
ああ~(笑)。
押井:まあ、僕も撮れと言ったんだけどさ。金髪の美少女が空手やってると、なんとも不思議なフェティッシュの世界になる。あと僕が「東京無国籍少女」(15)でロシア語監修を頼んだロシア人のコスプレイヤーの子なんかも。
ジェーニャですね。彼女は最初、僕(野田)がCSのTV番組の企画で日本に連れてきたんですよ。その後色々あって日本に移住して結婚もしちゃったんですが、お父さんが元スペツナズ(特殊任務部隊)という。
押井:うちのロシア支部のおっさんたちだって半分は元KGBだよ。今はFSB(ロシア連邦保安庁)だけど。もともとロシアで空手やろうなんておっさんの半分はそっち系。半分はインテリ。ロシアって昔から武道好きなの。プーチンの柔道も有名だけどさ。
ボンドガールは金星人
押井:あらゆる意味で「ロシアより愛をこめて」は007シリーズのピークだというのは、出来がいいとかボンドガールが歴代最強とかそういうことだけじゃなくて、007シリーズの本質が全部出てるからなんだよね。
この作品の出来がよかったから、これに倣ってフォーマット化したという話です。
押井:そういうことでもある。ボンドガールも最初の「007 ドクター・ノオ」(62)から出てきてたけど、それは連絡員の女とか色を添えてるだけだったの。やっぱりダニエラ・ビアンキがすべてを変えたと言ってもいい。でも、たちどころに惰性になっちゃったけどね。
あと有名なのは「007は二度死ぬ」(67)の浜美枝とかね。あれは日本で撮影して浜美枝がボンドガールをやるというので盛大に盛り上がったんだよね。僕は高校生になってたかな。
僕は生まれた年です。
押井:日本人向けに刻々情報が入ってくるんだよ。丹波哲郎も出てるし。浜美枝もそれまでそんなにメジャーな女優さんじゃなかったんだよ。海女の役だったんだけど本編中じゃ水着がせいいっぱいだった。だけど公開後に「プレイボーイ」かなんかで脱いじゃったんですよ。それで大騒ぎになった。
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