
- ●時の天皇の血縁でないにもかかわらず、天皇になる話が持ち上がった人物がいた。
- ●僧侶である道鏡は、女帝・称徳天皇の寵愛(ちょうあい)を得て、天皇即位の話が浮上した。
- ●室町幕府の将軍、足利義満が「天皇になろうとした」との説は学会では支持されていない。
今回のテーマは天皇になろうとした男たちです。
「天皇になろうとした男」と聞いて、誰が思い浮かびますか。まず、取り上げるのは道鏡です。
女性天皇である称徳天皇は僧侶である道鏡を寵愛し、天皇にしようと考えました。称徳天皇は女性天皇。中継ぎではなく、天皇になるべくしてなった唯一の女帝です。未婚の女性天皇が夫を持つことはないという背景がありました。
これまでに日本史においては、血縁よりも家が重視されるとお話ししました。それでは、天皇家においても血縁よりも家を重視し、道鏡の即位を認めたのか。 そうではありませんでした。
「道鏡を天皇にしてはならない」と宇佐八幡のお告げを受けて、道鏡は即位する道を絶たれたのです。
もう1人取り上げるのは、平安時代に関東諸国の国衙(こくが、現在の県庁に相当)をおとし、「新皇」と名乗った武士です。誰だか分かりますか。NHKの大河ドラマでは加藤剛さんが熱演していました。記事冒頭の写真がヒントです。
室町幕府の将軍で、あの金閣を立てた、足利義満についても取り上げます。
>>>>続きは上の動画でご覧ください。
東京大学史料編纂所教授

1960年生まれ。東京大学・同大学院で日本中世史を学ぶ。専門は中世政治史。史料編纂所で古代史料部門を担当する。著書に『考える日本史』『承久の乱 日本史のターニングポイント』など。
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