屋島城跡。天智天皇(中大兄皇子)が唐・新羅の侵攻に備え、防衛施設として築いた(写真:PIXTA)
屋島城跡。天智天皇(中大兄皇子)が唐・新羅の侵攻に備え、防衛施設として築いた(写真:PIXTA)
今回のチェックポイント
  • ●「天皇」の称号を定め、天皇が元号を制定する体制を整えることで、中国からの“独立”を示した
  • ●白村江の戦いで敗戦し、防衛体制を整える必要が生じた
  • ●「国」を設置し、法律「律令」を整え、体制を固めた

 今回のキーパーソンは天智・天武・持統の3天皇。この3天皇の時代に日本という国が出来上がりました。

 天智天皇は中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)。「大化の改新」を成し遂げた古代史のスーパースターですね。天武天皇はその弟。持統天皇は天武天皇の妻です。彼女は実は、天智天皇の娘でもあります。

 この頃に「日本」という国号、「天皇」という呼称ができました。そして「日本」は「天皇」が治める国であると宣言したのです。

 これは日本にとって大きな賭けでした。東アジアの周辺国は、中国皇帝の承認を得て「王」を名乗っていました。これに対し、「天皇」は「皇」の字を使用しており、「皇帝」と肩を並べる存在と主張したわけですから。中国皇帝の怒りを買う恐れがありました。

 このほかにも、天皇が元号を定める仕組みを整え、全国に「国」を設置し、法律「律令」を制定しました。東アジアの周辺国は、中国が定めた元号を使用していた時代です。

 最初の元号は「大化」ですね。しかし、「大宝」と言えないこともありません。その理由とは……。

>>>>続きは上の動画でご覧ください。

本郷和人(ほんごう・かずと)
東京大学史料編纂所教授

1960年生まれ。東京大学・同大学院で日本中世史を学ぶ。専門は中世政治史。史料編纂所で古代史料部門を担当する。著書に『考える日本史』『承久の乱 日本史のターニングポイント』など。

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