観音坂を上ると、鳩森八幡神社の鳥居の前に出る。江戸時代は千駄ヶ谷八幡宮と呼ばれていた古社だ。
ここは立ち寄るべし。古い上に見どころがたくさんある神社なのだ。
まずは由緒。大昔、林の中から多数の白鳩が西に飛び去ったので、それを吉兆として祠(ほこら)を建て、鳩森と名づけたという。その後、平安時代の860年、立ち寄った慈覚大師(円仁)が村民から頼まれて八幡宮を勧請したのだという。
この神社、境内も広く古社ならではの雰囲気があって落ち着く場所だが、八幡神社以外に注目すべき点が3つある。
1つは、かつて国立競技場の地にあった千駄谷大神宮(神明社)が明治41年にこちらに遷座していること。
2つ目は、将棋堂があること。実は鳩森八幡神社のすぐ横に将棋会館があり、昭和61年(1986年)に日本将棋連盟からけやき製の大駒が奉納され、それを納める将棋堂が建てられたのだ。「将棋の技術向上を目指す人々の守護神」として敬われている。将棋好きは行かざるをえまい。
3つ目は富士塚があること。江戸時代、富士山を崇拝する富士講が流行し、溶岩を使ったミニチュアの富士山(富士塚)がいくつもつくられた。富士登山をする代わりに、富士塚に登って祈っていたのである。都内に残存するものとしては最も古く(1789年築山)、いつでも登れる富士塚としては随一といっていい(特定の期間しか登れない富士塚が多い)。富士山を模して、里宮(浅間社)や奥宮も配されている。
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