旧鎌倉街道を歩く場合の最寄り駅は東京メトロ銀座線の外苑前駅。今も残る旧鎌倉街道をフルに歩くなら、青山通りを渋谷方面へ進んで、外苑西通りへ右折して行くとよい。ただ、これだと国立競技場に向かうには、遠回りになる。あまり歩きたくないなら、外苑前交差点からスタジアム通りを秩父宮ラグビー場方向に少し進み、1つ目の曲がり角を左折して熊野通りに入るとよい。先を進めば、熊野通りを左右に横切る旧鎌倉街道と交差する。

熊野通りから旧鎌倉街道に向けて歩く。しばらく進むと、旧鎌倉街道と交差する十字路に出る。その右角に鎮座する青山熊野神社へ通じる道なので熊野通りと名づけられた
熊野通りから旧鎌倉街道に向けて歩く。しばらく進むと、旧鎌倉街道と交差する十字路に出る。その右角に鎮座する青山熊野神社へ通じる道なので熊野通りと名づけられた
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 おしゃれな喫茶店などのお店が点在する熊野通りを進むと「青山熊野神社」が右手に現れる。

青山熊野神社。紀伊徳川家の屋敷(今の赤坂御所)にあったものが、1644年、町民の要請で現在地に遷座した。紀伊徳川家なので熊野神社なのだ
青山熊野神社。紀伊徳川家の屋敷(今の赤坂御所)にあったものが、1644年、町民の要請で現在地に遷座した。紀伊徳川家なので熊野神社なのだ
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 境内の西側(向かって左側)を南北に通る道が旧鎌倉街道。渋谷城(現在の金王八宮)脇から原宿町を経てここにつながっていた。そのまま旧鎌倉街道を北へ向かうと途中から道が下り始める。外苑の丘から、低い土地に建つ国立競技場へ向かう坂だ。この坂が前述した勢揃坂。坂の途中に解説板があるのでそれと分かる。

 ほんの数年前までは正面には都営霞ヶ丘アパートが並んでいて国立競技場は隠れていたが、「新」明治公園建設に伴いアパートが更地となったため、顔を出してくれた。

勢揃坂の上から国立競技場が顔を出す。先に見える横断歩道の先はさらに下っている。右手の電柱に「旧鎌倉街道」とあるのが見える
勢揃坂の上から国立競技場が顔を出す。先に見える横断歩道の先はさらに下っている。右手の電柱に「旧鎌倉街道」とあるのが見える
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国立競技場の5階「空の杜(もり)」から見た旧鎌倉街道(勢揃坂)。画面正面やや左手上から緩やかなS字形となって向こう側からこちらへ下っている。工事フェンスの手前側はかつて霞ヶ丘アパートがあった場所。新たな明治公園となる予定だ
国立競技場の5階「空の杜(もり)」から見た旧鎌倉街道(勢揃坂)。画面正面やや左手上から緩やかなS字形となって向こう側からこちらへ下っている。工事フェンスの手前側はかつて霞ヶ丘アパートがあった場所。新たな明治公園となる予定だ
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 今は緩やかな坂だが、坂を下ると、右手の国学院高校が擁壁の上に建っていることに気づく。そのことから、今の坂は土地を削って緩やかにしたように思える。当時はもっと急だったのだ。勢揃坂の上で国立競技場を見つめ、勝利を願いつつ競技場へ向かうのも乙だ。鎌倉街道は戦いに赴く軍道なので、気分もアガるはず。