東京都遺跡地図情報によると、実際にこのあたりで中世の陶磁器や道路跡が発掘されているようだ。国立競技場の南にある坂道は「勢揃坂(せいぞろいざか)」という。平安時代後期の1083年、源義家が奥州征伐に向かうとき(後三年の役)、この坂道で軍勢を勢ぞろいさせたという伝承がある。この道は旧鎌倉街道と考えられている。
鎌倉街道は中世の頃、日本各地と鎌倉を結んでいた街道の総称で、江戸時代の文献によく出てくる。東北地方にもつながっていたので、奥州街道や奥州古道と呼ばれることもある。そういう道筋であり、江戸時代よりずっと前に重要な街道が通っていた歴史あるエリアだったのだ。当時の人は丘に住み、渋谷川がつくった低地で農耕を行っていたのだろう。
まずは鎌倉街道の道筋を使って国立競技場へ向かう道を紹介したい。
外苑前駅から旧鎌倉街道を使って競技場へ
原宿の語源は旧鎌倉街道の宿があったことからきている。もともとの原宿は今のJR原宿駅から渋谷川を挟んだ反対側にあったのだ。江戸時代後期の「江戸切絵図」に、原宿町という文字が見える。青山通りの南青山3丁目交差点を北西に進んだ左手の地域だ。この原宿町から北に向かってのびている道が旧鎌倉街道。
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