旧国立競技場周辺に飾られていた彫像類も競技場の各所に設置される予定だ。槍投げ像、円盤投げ像、御者像は外苑門前に、健康美、青年像、出陣学徒壮行の地記念碑などは千駄ヶ谷門前など各所に分散して置かれる予定だ。
そして、「SAYONARA国立競技場」で終わった前競技場は、19年12月21日に開催されたオープニングイベント「HELLO,OUR STADIUM」(「こんにちは、わたしたちの競技場」というニュアンスか)をもって、新たな競技場として生まれ変わり、その歴史をスタートさせたのだ。
新しい競技場は旧国立競技場に比べると敷地面積が広くなり(約1.5倍)、競技場に隣接していた明治公園や日本青年館を飲み込んだ。暗きょ化・下水道化した渋谷川は、かつての姿をイメージしたカスケード(小さな滝)や約140メートルの人工の「せせらぎ」として、かすかな思い出として残ることになった(ただし、周辺を散策できるのは、オリンピック・パラリンピック後になるらしい)。
一方、旧国立競技場に併設されていた秩父宮記念スポーツ博物館は、新しい国立競技場には造られなかった。ただ、博物館に展示されていた秩父宮雍仁(やすひと)親王にかかわるスポーツ関連資料や文物の一部は外苑門横のギャラリースペースで展示されることになった。
そして都営霞ヶ丘アパートは新たな「明治公園」となり、バス停や交差点名の「霞ヶ丘団地」にのみ名を残し、1960年代からの歴史を終えた。
2020年の東京オリンピックが終われば、せせらぎや国立競技場5階の「空の杜(もり)」も開放されるだろう。新しい国立競技場がその真の姿を見せてくれるのは、オリンピック後になりそうである。
そして、21年からは、大正15年(1926年)に開場した明治神宮野球場、昭和22年(1947年)に完成した秩父宮ラグビー場を巻き込んだ再開発が始まる。都心の一等地にありながら昭和の香りを残していた神宮外苑の残りのエリアもその姿を変えることになる。 (次回に続く)
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