そうなると気になるのが土地の来歴。こんな都心に巨大な陸上競技場や神宮野球場、秩父宮ラグビー場をまとめて造れたのはなぜなのか。
(次回に続く)
国立競技場の周辺の変化を2つの地図で比較してみよう。新しい国立競技場の敷地は、競技場の南にあった明治公園やその隣にあった日本青年館を取り込んで、拡大した。それに伴い、旧国立競技場と明治公園との間にあった道もなくなっている。2つの地図には参考のため、かつての渋谷川の流路を水色で書き込んであるが、渋谷川はその後暗きょとなり、さらに下水道となっているので、地上に川が見えるわけではない。
国立競技場の南側に作られた出入り口は、「外苑門」と名付けられた(以前はほぼ同じ方向を向いた「代々木門」があった)。外苑門の前には広大な人工地盤(空中デッキ)が造られ、その南端はかつての霞ヶ丘アパート(都営住宅)があったところまで延びている。地上へはそこから階段で下りるようになっている。
旧霞ヶ丘アパートのエリアは2021年度から公園として整備される。外苑門前と競技場の西側に造られた人工地盤は「立体都市公園」と位置付けられ、両者一体となって新生「明治公園」となる予定だ。ちなみにかつての明治公園は、旧国立競技場の南側と西側、そして道路を挟んでさらに西側の台地に建つ東京体育館の敷地も含んでいた。東京体育館の部分は今も明治公園として存在している。この部分と新しい明治公園は再び1つの公園となるわけだ。
一方、明治公園の東側にあった日本青年館(かつて「8時だョ!全員集合」の公開放送が行われていた)は明治神宮野球場の前の通り(スタジアム通り)に面した場所に3代目の日本青年館として移転している。青年館の国立競技場寄りの隣には、「JAPAN SPORT OLYMPIC SQUARE」ビルが建設された。日本スポーツ協会(JSPO)、日本オリンピック委員会(JOC)などのオフィスのほか、1階に日本オリンピックミュージアムが入っている。
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