都営霞ヶ丘アパートの跡地はすでに更地となり、オリンピック終了後に新しい明治公園として整備される予定だ。下の写真の左手に見える高層マンションは、外苑ハウス跡地に建てられる「THE COURT 神宮外苑」で20年4月に竣工予定だ。外苑ハウスは、1964年のオリンピックの際、外国人記者団の宿泊所として造られ、その後、一般向けマンションとなった。それが外苑ハウスマンション建替組合の手によって建て替えられているのだ。この建物も前回の東京オリンピックとともに生まれ、今回のオリンピックでその姿を変えることになったのだ。
更地になった旧国立競技場越しにダイヤモンド富士を見る
旧国立競技場が完全に更地になった17年2月、国立競技場跡地越しに「ダイヤモンド富士」を見られるぞ、という話を聞き、カメラを持って日没寸前に明治神宮外苑を訪れた。すでに明治神宮外苑聖徳記念絵画館の前には多くの人がカメラを持って待っていた(その場所は、記事末の地図「旧国立競技場とその周辺」に赤い点でプロットしておいた)。絵画館前の道路の西に旧国立競技場があったのだが、それがなくなると、ちょうどその向こうに富士山が見えるのである。
ダイヤモンド富士は、富士山頂に太陽が沈む様子を指す。冬至を挟んで年に2回だけ見ることができる。ただし、その日は程よく晴れている必要があり、チャンスは旧国立競技場の敷地が更地になっている2015~2017年の、年に2回のみというレアなイベントだったのである。
そしてその日は快晴とはいかないものの何とか富士山が見える天候だったのだ。これがその1枚。見事富士山頂に太陽が没してくれた。
神宮外苑からダイヤモンド富士を見られる日は、新しい国立競技場が完成した現在、この後、数十年はないはずだ。その代わり、国立競技場5階の空の杜から富士山が見えるはずなので、ダイヤモンド富士が見える日は撮影スポットとして人気となりそうである。
さて、その旧国立競技場を初めて訪れたとき(前世紀の話だが)、競技場の南側、明治公園と旧国立競技場の間が坂道になっていることに気づいた。こういう巨大な競技場は平らな土地に造られていると思っていただけにちょっとした驚きだった。「国立霞ヶ丘陸上競技場」という正式な名称を聞いて、ここって丘の端だったのかと思ったのである。
競技場の西を流れる渋谷川(すでに暗きょになっていた)の西側の道も坂になっている。その坂の上の台地に鳩森八幡神社や東京体育館(2020年のオリンピックでは卓球などの会場となる)が建っているのだ。つまりこの地は渋谷川がつくった谷の一部だったのだ。
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