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 大型開発プロジェクトで変貌しつつある東京。その注目エリアをピックアップし、地域の歴史や地形と絡ませながら紹介していく連載です。現地に残る史跡、旧跡のルポも交えて構成。歴史好きの人のための歴史散歩企画としても楽しめます。変貌する「ネオ東京」の“来し方行く末”を鳥瞰(ちょうかん)しつつ、その地の歴史的、地勢的特性を浮き彫りにします。

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 東京オリンピック・パラリンピックに向けて建設が進んでいた新しい国立競技場が2019年11月30日に無事竣工した。12月15日にメディア向け内覧会が開催されたので参加させてもらい、一足早く競技場に足を踏み入れることができた。

 以前の国立競技場に比べるとかなり巨大になったが、コンクリートの垂直な外壁ではなく、外側が幾層もの屋根やひさし、柱で構成されている。上に向かって少し狭まっている分、あまり圧迫感は感じないのがよい。

国立競技場をかつて明治公園だった辺りから望む(写真:荻窪圭、以下同じ)

 ザハ・ハディド設計の競技場を見たかった気もするが、まあそれはそれだ。

 新しくなった国立競技場はかつて明治公園だった場所も敷地として取り込んだため、競技場南側にある外苑門の前庭が非常に広くなり、正面から全体を一望できる。

国立競技場の南側、外苑門方面から見た国立競技場。明治公園の敷地を取り込んだため、外苑門の前には広大な人工地盤(空中デッキ)が生まれ、こういうビュースポットができた

 かつての国立競技場では、競技を開催していないときには門が閉められていた。オリンピック終了後からだが、新しい国立競技場では、その周辺スペースや5階に設けられた回廊スペース「空の杜(もり)」が一般に開放されて、人々が自由に散策できることになっている。近くに高い建物が少ないため、眺めは非常に良い。

国立競技場の5階に設けられた「空の杜」。オリンピック開催後は、自由に散策できる開放空間となる予定だ

 その国立競技場、そもそもなぜ都心にそんな広い土地を得られたのか、そこはどういう土地だったのか。調べていくとなかなか興味深いのである。

 今回は国立競技場の土地の履歴をめくってみたいと思う。