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 実は、わたしはたまたま16年に開催された、工事中の地下や東横店をめぐるツアーに参加したので、渋谷川を地下から見上げた経験がある。上方にあるコンクリートの四角いブロックのように見える部分が渋谷川だ。

工事中の渋谷駅東口地下。丸い柱で支えられている四角いブロックの部分が渋谷川。工事が終了するとこの場所は東口地下広場として使われる(写真:渋谷駅街区土地区画整理事業共同施行者)

 12年からは一番渋谷駅の動線が複雑化し、利用者を混乱させるようになった。数カ月おきに他線との改札間の動線が変わり、昔の感覚で歩いていると以前は通れていた通路が通れなくなっていたりする。標識に従って歩かないとどうしようもないという状態になっているのである。

 主要施設を稼働させながら再開発するので、ここを工事している間は通路はこちら、次はこちらを工事するので通路はこっち、と迷宮化するのはしょうがない。とはいえ、渋谷駅は分かりにくいので使いたくない、といわれてもしかたない感じもする。このころは完成しているのは「渋谷ヒカリエ」のみで、「東横線ホームが遠くて不便になった」という印象しかなかったんじゃあるまいか。

 東横線渋谷駅が地下深くになり、上下の移動も大きくなった上に、頻繁に動線が変わるので、利用者は最終的に渋谷がどうなるのか見えないまま動かされてストレスを感じていたはずだ。この先渋谷はどうなるのか。再開発が完成したとき、動線は改善されるのか。分かりやすく無駄なく行き来できるようになるのか。気になって仕方がないところである。

 そこで今回、東急株式会社や東急不動産を取材してきた。

 出てきたのが「アーバン・コア」と歩行者デッキという2つのキーワードだ。次回はアーバン・コアを軸に、渋谷の再開発をひもといていく。

東口地下広場や地下貯留槽も建設中

 渋谷の再開発というと、高層ビル群を中心としたものに目がいきがちだが、地下も大きく変わろうとしている。その1つが渋谷駅東口の地下の整備だ。東急百貨店東横店東館の地下を流れていた渋谷川の流れを東に移動させるとともに、新たな施設を建設している。

 それが19年11月に一部供用を開始する渋谷駅東口地下広場だ。広場の頭上に渋谷川が流れるこのスペースは、東急東横線、田園都市線/東京メトロ副都心線、半蔵門線など地下駅の改札とJR線などの地上駅や東口バスターミナルといった周辺施設を結ぶ乗り換えの要所になるはずだ。渋谷スクランブルスクエアなど周辺のビルとも連絡する。また、都営バス定期券発売所兼案内所と情報発信や観光案内機能を持つカフェなどが設置される予定だ。

 さらにその下には、大雨時に雨水の暫定貯留を行う容量約4000立方メートルの貯留槽が造られる。すり鉢状の地形の底にある渋谷駅周辺は、たびたび水の被害を受けてきた。この施設の完成で、その被害を少しでも減らすことを目指している。

渋谷駅東口地下広場の断面図。東口地下広場の上に渋谷川が流れている。地上に見えるのは東京メトロ銀座線の新駅(図:渋谷駅街区土地区画整理事業共同施行者)
渋谷駅東口地下の断面図。東口地下広場の下、地下約25メールのところに地下貯留槽が造られている(図:渋谷駅街区土地区画整理事業共同施行者)