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 大型開発プロジェクトで変貌しつつある東京。その注目エリアをピックアップし、地域の歴史や地形と絡ませながら紹介していく連載です。現地に残る史跡、旧跡のルポも交えて構成。歴史好きの人のための歴史散歩企画としても楽しめます。変貌する「ネオ東京」の“来し方行く末”を鳥瞰(ちょうかん)しつつ、歴史的、地勢的特性を浮き彫りにします。
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なぜ渋谷はあんなに複雑で把握しづらいのか

 もう10年以上前の話になるけれども、あるとき、突然知ったのである。「ハチ公像」と「モヤイ像」って目と鼻の先にあるじゃないか、と。それまではもっとずっと、渋谷のこっちの端とあっちの端くらいに離れた場所だと思っていたのだ。

 実はこんなに近かったのに、巨大な壁(東急百貨店東横店)で隔てられていたので気づかなかったのである。

モヤイ像(写真:荻窪圭)
渋谷駅。ハチ公像とモヤイ像はすぐそこの距離にあるが、なぜか近くにあるとは思えない。注釈は筆者(地図:国土地理院)

 学生時代、もっともよく遊びに行ったのが渋谷だったが、その頃はパルコ・丸井の全盛期で遊ぶのもたいてい道玄坂か公園通り方面、その方面への最寄りは「ハチ公前」なのでそれ以外の渋谷を知らなかったのである。

 なぜ渋谷はあんなに複雑で把握しづらいのか。

 それを追いつつ、今佳境に入っている渋谷の大規模な再開発はその複雑さを解消してくれるのか。

 そこに迫ってみたい。

2027年度まで続く渋谷駅周辺の再開発プロジェクト
渋谷駅周辺の主な再開発プロジェクト

 渋谷では大規模な再開発が進んでいる。渋谷駅周辺の主なプロジェクトを地図に赤で示した。渋谷ヒカリエは12年、渋谷ストリームは18年に開業済み。渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)は19年11月に開業。東棟は駅東側だけだが、全体が完成すると、図のように渋谷駅東西をまたぐことになる。渋谷フクラスでは、15年に工事とともに閉館していた「東急プラザ渋谷」が19年12月にオープンする。渋谷ストリームのJRを挟んだ西側では桜丘口地区の再開発が今年から始まっている。

 地図には示していないが、この他にも開発プロジェクトは数多くある。旧東急東横線の線路跡地に渋谷ブリッジが18年に開業。東急不動産の新社屋が入った渋谷ソラスタ(道玄坂)も19年8月に稼働を始めた。東京メトロ銀座線の新ホームは20年1月に供用開始予定だ。渋谷スクランブルスクエアは、第Ⅱ期工事が20年に始まる。20年3月末で営業を終了する東急百貨店東横店の跡地に、中央棟と西棟が27年度に開業する予定だ。