大型開発プロジェクトで変貌しつつある東京。その注目エリアをピックアップし、地域の歴史や地形と絡ませながら紹介していく連載です。現地に残る史跡、旧跡のルポも交えて構成。歴史好きの人のための歴史散歩企画としてもお楽しみください。変貌する「ネオ東京」の“来し方行く末”を鳥瞰(ちょうかん)しつつ、その地の歴史的、地勢的特性を浮き彫りにします。

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 2020年3月14日、高輪ゲートウェイ駅が暫定開業した。山手線としては実に49年ぶり、京浜東北線では20年ぶりの新駅だ。

 「高輪ゲートウェイ」とはなかなか付けられる駅名じゃない。山手線や京浜東北線の駅名の中でひときわ浮いているのは多くの人が賛同するところだろう。命名発表時にはいろいろ不満も出たようだし。

 この長い名前がそのまま呼ばれ続けるとは考えづらいので、どう略されるんだろうと気になったりもする。「タカゲー」とか「ナワゲー」あたりだろうか、とひそかに思ってる次第。

 今回から数回、高輪ゲートウェイ駅とその周辺を取り上げる。駅名の是非は字面だけで文句をつけてもしょうがないので、なぜそこに駅が造られるのか、どんな駅になるのか、ちょっと調べてから判断することにした。

高輪ゲートウェイ駅。開業当初の1日の平均乗降客は鶯谷駅規模の約2万人、24年の本開業時は13万人程度(五反田・恵比寿駅規模)を想定している(写真:荻窪圭 以下同じ)
高輪ゲートウェイ駅。開業当初の1日の平均乗降客は鶯谷駅規模の約2万人、24年の本開業時は13万人程度(五反田・恵比寿駅規模)を想定している(写真:荻窪圭 以下同じ)
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木のぬくもりを感じさせる高輪ゲートウェイ駅の改札口。山手線、京浜東北線の他の駅とは雰囲気が異なる。駅名表記が明朝体だったため話題になった
木のぬくもりを感じさせる高輪ゲートウェイ駅の改札口。山手線、京浜東北線の他の駅とは雰囲気が異なる。駅名表記が明朝体だったため話題になった
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高輪ゲートウェイ駅は「グローバルゲートウェイ品川」の一部
高輪ゲートウェイ駅(右手前)とグローバルゲートウェイ品川。手前2つのビルが4街区。右奥に見えるビルは3街区で、田町駅寄りに建設される(提供:JR東日本)
高輪ゲートウェイ駅(右手前)とグローバルゲートウェイ品川。手前2つのビルが4街区。右奥に見えるビルは3街区で、田町駅寄りに建設される(提供:JR東日本)
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 2020年3月14日に暫定開業した高輪ゲートウェイ駅は、品川駅から田町駅までの一帯を再開発する「グローバルゲートウェイ品川」事業の1つとして位置づけられている。同事業は、JRの車両基地から創出した13ヘクタール(東京ドーム敷地面積の3倍弱)を利用して1街区から6街区からなる街を造る。目指すのは「世界中から先進的な企業と人材が集う国際交流拠点」。東京の“玄関口(ゲートウェイ)”として位置づけている。

 その第Ⅰ期に当たる1街区から4街区には、オフィスだけでなくビジネス支援施設、コンベンション・カンファレンス施設や文化創造施設、宿泊施設、外国人のニーズにも対応した住宅などが24年ごろに完成する予定だ。駅の南側、品川寄りの5街区、6街区は第Ⅱ期として、品川駅の大改造と並行して開発される。

グローバルゲートウェイ品川第Ⅰ期の計画図。高輪ゲートウェイ駅のある4街区の北側に1~3街区が造られる。品川駅寄りには5街区と6街区が建設される予定だ(提供:JR東日本)
グローバルゲートウェイ品川第Ⅰ期の計画図。高輪ゲートウェイ駅のある4街区の北側に1~3街区が造られる。品川駅寄りには5街区と6街区が建設される予定だ(提供:JR東日本)
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