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 となると、西館や南館を取り壊したとき、その中にある改札口や、通路や階段はどうなるのかという疑問が湧いてくる。京王井の頭線からの連絡通路は西館のところまで来た先はどうなるのか。

 西館、南館の取り壊しは20年の東京オリンピック・パラリンピックの後に始まることになるらしい。工事が7年間続く過程で、京王井の頭線の利用者はつつがなく、乗り換えができるのだろうか。

 もっとも、渋谷駅周辺の再開発はこれまでも複雑なパズルを解くようにして、手順を間違えずに複雑で緻密な工事を繰り返してきた。当然何らかの方策があるはずだ。素人の心配は無用だろう。だが、京王井の頭線の利用者は、工事の進展とともに変化する動線という迷宮の世界に出くわす可能性もある。

東急東横店西館の周囲に謎の空中デッキ現る

 そんな懸念に答えるように、現在、渋谷駅の西口広場にあるものが造られている。それはJR中央改札から京王井の頭線方面に階段を下りた目の前にある。窓の先に伸びる空中デッキだ。渋谷駅の西側、あのモヤイ像が鎮座しているその上を通っている。

JR中央改札から階段を下りた正面に見える建設中の空中デッキ。渋谷駅西口広場のモヤイ像の上あたりを通って、その先でカーブして京王井の頭線との連絡通路に向かっている

 空中デッキは西館の壁面に沿うように、途中から右にカーブして、京王井の頭線との連絡通路に直角にぶつかっている。

19年12月に開業した渋谷フクラスから見た渋谷駅西口の空中デッキ。正面の東急東横店西館を沿うようにして建設されている。JR中央改札下の階段の前(右方、赤い矢印部分)から井の頭線との連絡通路(左方)に向けて伸びている。正面に見えるのが3月末で閉店する東急東横店西館。その右手が南館

 いったいこれは何なのか。何のために造っているのか。いつから供用されるのか。関係者に聞いてみても口を濁して語ってくれない。渋谷の再開発はJR東日本、東急グループ各社、東京メトロをはじめとした多くの企業、そして地方自治体として東京都が絡んでいる。

 ちなみに渋谷スクランブルスクエアの運営は、JR東日本、東急、東京メトロの3社が共同で進めている。それだけに、情報の取り扱いは慎重だ。情報を出すときは、関係者が一緒になってまとめて出す。そんな方針が垣間見える。ぽちぽちと五月雨式には出さないのだ。