川西:可能です。例えば、職場で上司が親の代わりになって働きかければいいんです。
新人が気の利いたことをすれば褒め、利かないことをすれば諭す。それも意味を明確にして。そして少しずつ脳に回路を作っていく、と。
川西:若い方にはそれが有効です。ただ、40~50代の方には、親の代わりに諭す方法は慎重に実践する必要がある。言われた側が、馬鹿にされたように感じ聞く耳を持たなくなってしまう場合があるからです。そうした人がいる職場では、個人を矯正しようとするのでなく、組織全体で「気を利かせることの大切さ」を学ぶムードをつくった方がいい。
なるほど。気が利かない脳を矯正することは可能でも、時間がかかりそうですね。電車で中ほどまで進む人が増え、日本の通勤ストレスが緩和する日は、随分先になりそうな気がしてきました。
川西:でも現時点でやれることもまだ残っていると思います。例えば、車内のアナウンスだって工夫の余地があります。
「下げようスピード」ではだめ。もう一言が必要
「中ほどまでお進みください」だけではだめ?
川西:幼少期に「気を利かせる回路」が出来上がらなかった人の脳に、成人後に回路を作るには、ただ「○○をしましょう」という働きかけでは不十分です。やはりここでも、なぜそれをするのか、そのメリットは何なのかという「意味の明確化」が必要になる。例えば、電車とは直接関係ありませんが、こんな話があります。ある運送会社があって、社員のスピード違反が問題化していた。そこでその会社では「下げようスピード」というスローガンを掲げたが、ほとんど効果はなかった。しかしそこに、あるフレーズを付け加えたら、たちどころに違反が減ったんです。
そのフレーズとは?
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