人気を博した懐かしの企画について、執筆者本人に舞台裏を聞く本コラム。第5回は「日経ビジネス電子版(旧日経ビジネスオンライン)」に2014年1月23日に公開された「なぜ電車で『中ほど』まで進まないのか ~気の利かない人が増えた理由~」だ。朝の通勤ラッシュ時に、毎日のように目にする電車のドア付近を必死でキープする人々。その裏側にある心理について、専門家にインタビューしたのが本記事だ。筆者の鈴木信行副編集長とともに、内容を振り返る。
(聞き手は山崎 良兵)
「あの企画の舞台裏」第5回は、2014年1月23日に公開された「なぜ電車で『中ほど』まで進まないのか ~気の利かない人が増えた理由~」です。これはもう定番というか、満員電車で通勤する人の多くが毎日、憤っているテーマですよね。本当に、しょっちゅう目にします。

筆者:今、通勤電車の中にいてスマホでこの記事を見ている方はぜひ、各車両に必ずいる「ドア横キープマン」(中ほどまで絶対行こうとせず、ドア横を陣取る人)や、「混んでも意地でも詰めないマン」たちをじっくり観察しながらお読みいただくことをお勧めします。
では、まずは記事を改めて振り返りましょう。2014年1月23日公開「なぜ電車で『中ほど』まで進まないのか ~気の利かない人が増えた理由~」です。どうぞ。
なぜ電車で「中ほど」まで進まないのか
~気の利かない人が増えた理由~
川西由美子・ランスタッド EAP総研所長に聞く
2014年1月23日
組織のスリム化や成果主義の導入による労働強化などに伴い、高まり続ける会社員のストレス。職場環境の悪化とともに、改善の兆しが見えない世界最悪レベルの通勤ラッシュも、働く人の大きな心理的負担となっている。ピーク時には300%を超えるとも言われる日本の通勤環境。携帯電話の利用やヘッドホンの音漏れもさることながら、「乗車時に、電車の『中ほど』まで進まない人々」にストレスを感じている人も少なくないのではないだろうか。
すぐ降りるわけでもないのにドア付近に立ち止まれば、混雑に拍車をかける上、後から乗車する人の邪魔になる。中ほどまで進めば自分自身も楽なのに、奥へ行くそぶりすら見せない人も多い。ただ単に気が利かないだけなのか、あるいは周りが見えていないのか。それとも、何らかの意図やトラウマがあっての行動なのか。心理学のスペシャリストと共に、「電車で中ほどまで進まない人」の心理を分析する。 (聞き手は鈴木 信行)
川西由美子(かわにし・ゆみこ)
オランダに本社を置き、世界39の国と地域に拠点を持つ総合人材サービス企業、ランスタッドのEAP総研所長 兼 ビヘイビアルヘルス(行動健康科学)コンサルタント。国内外の企業・スポーツ界、病院、学校などで「ココロの健康管理」に関するコンサルテーションを手掛ける。企業向けには安全文化、品質向上のコンサルテーションを、海外ではインドネシアのロジスティクス企業や医療機関での組織再編時のチーム力向上講演にも注力。現在はフィンランドにて「リチーミングコーチ」資格も取得。日本とインドネシアでのリチーミングコーチ育成と企業、組織に対してリチーミング研修を展開中。小児がんの子供のための活動、NPOゴールドリボンネットワーク理事を務める一方、NPO法人JKSK(女子教育奨励会)の活動も。
満員電車で都心へ通勤している方であれば、1度は「電車の中ほどまで進まない人」にイライラさせられた経験があると思うんですが。
川西:そう思います。私自身、丸ノ内線で通勤していますが、乗車の際にドア付近で意味なく立ち止まろうとする方を頻繁に目にします。通勤時間帯の電車の混雑が激しいのは仕方がない面もありますが、よく見ると中央付近にそれなりのスペースがある車両は少なくない。皆が積極的に奥に詰めるようにすれば、少しは通勤環境も改善するはずです。
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