日経ビジネス電子版(旧日経ビジネスオンライン)で人気を博した懐かしの企画について、執筆者本人に舞台裏を聞く本コラム。第1回は2013年7月25日に公開された「結局、ワイシャツの下は何を着ればいいのか」だ。地球温暖化の影響で“亜熱帯化”が進む日本列島。仕事の効率化を進めるため、クールビズに力を入れる企業は多いが、「ワイシャツの下」については社会全体としての統一見解はまだ出されていない。そこで、ビジネスマナー上、一体ワイシャツの下は何を着るのが正解なのか専門家に聞きに行ったのが本企画だ。筆者の鈴木信行副編集長とともに、その内容を振り返る。

(聞き手は山崎 良兵)

「あの企画の舞台裏」第1回目の題材は、2013年7月25日に公開された「結局、ワイシャツの下は何を着ればいいのか」です。多くの会社員が悩まされてきた問題だと思われますが、なぜこのような企画を思いついたのですか。

筆者:自分自身がどうすればよいか分からなかったからです。2013年の夏も、高知県四万十市で最高気温が41度を記録するなど今年に負けない猛暑でした。汗をかくことを考えれば、汗を吸い取り体感温度を下げ、匂いも防いでくれる肌着の着用は必須に思えます。ただうかつにランニングシャツなどを着ていると、今の時代、「ツキノワグマ」「オヤジくさい」などと嘲笑されかねません。そこで専門家の方に取材に行きました。

取材対象者として、松屋銀座の紳士服バイヤー(当時)だった宮崎俊一さんを選ばれたのはなぜですか。

筆者:宮崎さんの著書を拝見し、男性ビジネスファッションのプロフェッショナルであると知りました。この方であれば、この問題にも答えてくれると考えました。

分かりました。ではまずはその記事を改めて振り返りましょう。2013年7月25日に公開された「結局、ワイシャツの下は何を着ればいいのか」です。どうぞ。


結局、ワイシャツの下は何を着ればいいのか
宮崎俊一・松屋銀座紳士服バイヤーに聞く
(2013年7月25日)

 国内市場の成熟が進む中、今後、欧米や新興国に主戦場をシフトしていかざるを得ない日本企業。当然、そこで働く個人も「スキルの国際化」が急務となりつつある。グローバル対応が求められるのは語学力のみならず。「日本人の9割は欧米の常識に反する間違ったファッション知識を持っており、国際交渉の場や海外人脈を作る上でハンディになりかねない」と危惧しているのが、松屋銀座の紳士服バイヤー、宮崎俊一氏だ。宮崎氏に「ビジネスファッションの国際常識」について話を聞いた。

(聞き手は鈴木 信行)

著書や講演会などで「日本人の9割は間違ったスーツ選びをしている」と主張されています。具体的にどの辺りに問題があるのでしょう。

次ページ 裾を長くしても足は長く見えない