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北魏、新羅系の仏像

中宮寺半跏思惟像

 半跏思惟は、ガンダーラの仏像にも見られる仏像の姿です。その仏伝における意味は、王族を出奔して出家修行者になろうとしていた釈迦が、これからの修行の道程を沈思黙考している姿といわれます。これが、将来釈迦の次にブッダになることが決まっている弥勒菩薩の姿に重なったのだと思います。

 法隆寺の東隣にある中宮寺の半跏思惟像は、寺伝では如意輪観音としてお祀りしています。まだ剃髪をする前の可愛らしい二つの髷を頭上に結っています。しかし、王族の証である冠や条帛(じょうはく)、装身具を着けていないところをみると、出家直前の釈迦の姿を表しているのかも知れません。本像の材質はクスノキですので、おそらく新羅あたりから渡来した工人が飛鳥で制作したのではないかと想像されます。図のような複雑な木寄せ構造をしていますが、仏像研究者だった故・西村公朝先生は、鋳造をするための原形ではなかったかと推測しておられました。今は煤で真っ黒ですが、制作当初は漆下地が塗られて漆箔が施されていた可能性があります。

ガンダーラ半跏思惟像
中宮寺半跏思惟像
中宮寺半跏思惟像構造図

広隆寺弥勒菩薩坐像

 新羅系渡来人の秦氏の本拠地であった京都太秦の広隆寺には、すばらしい仏像がたくさん残されています。そのなかでも傑出しているのがアカマツで造られたこの半跏思惟像です。本像とうりふたつの形状をした金銅造弥勒菩薩半跏思惟像が韓国中央博物館にありますので、おそらく新羅あたりで造られて舶載された像ではないかと考えられますが、明確な証拠はありません。

広隆寺弥勒菩薩半跏像

イラスト/籔内佐斗司、新保裕希(籔内佐斗司工房)

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